大手マスコミ黙殺した橋下発言  「普天間関西へ」浮上の舞台裏 

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フリージャーナリストの質問を機に「一斉報道」

   普天間基地の移設問題を精力的に取材していた岩上さんは「橋下発言」の存在を知り、衆議院の動画サイトで内容を確認したが、どのメディアも報道していないことに疑問をもった。そこで、自ら大阪府庁に乗り込んで知事に直接確認することにした。

   前日に大阪の家電量販店で購入したビデオカメラを携えて囲み取材の輪に加わった岩上さんは、基地受け入れについての真意を橋下知事にたずねるとともに、質疑応答の一部始終を録画してユーチューブ(Youtube)で公開することにしたのだった。

「普天間基地の問題に関して、もう一度、知事の考えをお示しいただきたい」

という岩上さんの質問に対して、橋下知事は「安保政策は内閣の専権事項なので、あくまでも個人的な意見として」と断りつつ、沖縄の基地問題に対する熱い思いを口にした。

「沖縄の地上戦というのは、沖縄の方に多大な負担をかけたので、本州・四国・北海道・九州の人間は沖縄の人達に十分な配慮をしなければいけない。沖縄の基地負担の軽減のために、みんなで一定の負担をすべきだと思っています」

   そして、沖縄戦で自決した大田実海軍中将の「沖縄県民かく戦えり。県民に対し後世、特別のご高配を賜らんことを」という有名な言葉を引用して、

「(大田中将の言葉を)僕らは胸に刻んでおかなくてはいけない。関西で、もしそういう話がくれば、基本的には(議論を)受け入れる方向で検討していきたい」

と語ったのだった。この発言が今度は一転して新聞やテレビで報じられ、閣僚を右往左往させるほどの大騒ぎになった。二度にわたって黙殺されたニュースに火をつけた格好になった岩上さんは、

「Youtubeにアップした動画を最初から最後まで見てもらえれば、僕が普通に質問して、橋下さんが率直に自分の言葉で語っている様子がよくわかる。いつ、だれから質問されようと、自分の信念を堂々と語るのだという強い思いが感じられた」

と話す。橋下知事はその後も、12月6日に花園ラグビー場で観客に向かって「みなさんで沖縄のことを考えましょう」と呼びかけるなど沖縄の基地問題について積極的な発言を繰り返しており、波紋は大きく全国へ広がろうとしている。

   降ってわいたかのような橋下発言だが、前出の大阪府の報道担当職員も、きっかけを作った岩上さんも「橋下知事の姿勢は一貫している」と口をそろえる。一貫していないのは、最初は横並びで発言を黙殺しておきながら、外部のジャーナリストが現れると突然、堰を切ったように一斉に報道した既存のマスコミのほうだろう。このような状況について、岩上さんは

「まるで便秘からいきなり下痢になったようで、気持ちが悪い。ここにも、マスコミ各社が一斉に足並みをそろえようとする『記者クラブ制度』の本質があらわれているといえるだろう」

と話している。

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