3人乗り自転車がなかなか普及していないようだ。割高な値段が購入しづらいのと、地域によっては自動車の方が便利だと言う人が多いせいだ。そんな中で、3人乗り自転車の無料貸し出しを行うサービスをはじめた自治体もある。
自転車3人乗りは2009年7月、解禁された。それ以前は自転車に乗せられるのは6歳未満の幼児1人とされており、事実上の黙認状態がずっと続いていた。3人乗り禁止の議論も一時出たが利用者の反発もあり、解禁に際しては要件を満たした自転車に限ることが義務づけられることになった。ただし、この要件を満たす自転車が、割高な価格となっている。
「幼児用座席つけてほしいという依頼の方が多い」
東北地方で展開しているある自転車チェーンの担当者は、3人乗り自転車の売れ行きは「ぽつぽつといったところ」と明かす。話題になっているのは確かで問い合わせは多いというが、やはり、価格が購入を見合わせているという。3人乗り自転車は頑丈なフレームが特徴で、価格帯は4~5万円。電動アシスト付きの場合は10万を超えるという。「財布の紐はかたいです。幼児用の座席をつけてほしいという依頼の方が多いくらいです。その方が安く済むからです」
一方、都内の自転車店の担当者も、「3人乗り自転車の方が安全に越したことはないのですが、やはり値段を気にされるお客さんが多い。5万円程度の自転車を買うにしても、それに風除けや荷台、ヘルメットを着けると予算が大幅に超えてしまうようです。そこで諦めて、普通の自転車を購入される方は約半数くらいでしょうか」と話す。ここも、決して売れ行き好調というわけではないようだった。
3人乗り自転車購入者に対し、購入費を助成する制度を行っている自治体もあるが、申請者数も伸びていないようだ。2009年8月に導入した山形市の場合は申請者数6件、同じく酒田市は3件にとどまっている。酒田市子育て支援課は「なかなか伸びていないのは土地柄、保育園の送迎には車の利用者が多いのと、認知不足がある」と分析している。