水樹奈々、平野綾、堀江由衣… 声優は今やアイドルだ

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   声優がアイドルのように取り上げられる機会が目立っている。NHK紅白歌合戦には人気声優の水樹奈々さんが初出場するのも大きな話題として取り上げられ、週刊誌「AERA」も特集を組んだほどだ。なぜこれほど声優が注目されるのだろうか。

   水樹さんの紅白歌合戦初出場決定はネット上で、大きな関心事になった。ヤフー意識調査で紅白初出場の注目株を質問したところ、水樹奈々さんと男性アイドルユニット「嵐」の一騎打ちになり、水樹さんが圧倒的な支持を得ている。

武道館ライブ行った水樹奈々、田村ゆかり、堀江由衣

   水樹さんが声優デビューしたのは1998年で、代表作にはテレビアニメ「NARUTO」「魔法少女リリカルなのは」などがある。歌手デビューは2000年。もともと演歌歌手を目指していただけに、抜群の歌唱力だ。2009年6月、通算7枚目のアルバムがオリコン週間アルバムランキングで首位に。41年の歴史の中で声優史上初めての快挙は、話題を呼んだ。1月には日本武道館で3日間3万人、7月の西武ドームのステージでも3万人を前に歌った。その活躍は目覚ましい。

   声優が歌手としても活動するのは珍しいことなのだろうか。実は、水樹さんのように、歌手活動などにも幅を広げる「アイドル声優」は多い。

   たとえば、11月18日に発売された新アルバムが2作連続でオリコントップ10入りした平野綾さん。写真集やDVDも好評だ。独特な雰囲気のブログが評判な落合祐里香さん。2008年5月には12か月連続でCDを売り出した。お姫様キャラで知られる田村ゆかりさんと、人気アニメ「ラブひな」のヒロイン役でも知られる堀江由衣さんもそれぞれ、武道館コンサートを行った。また、朝日新聞の週刊誌「AERA」でも取り上げられた戸松遥さん、牧野由依さんも第一線で活躍している。

「アイドル声優」はひとつのジャンルとして確立される

   東京アニメセンターの千田浩司さんは

「声優の仕事は元々、舞台俳優さんたちが仕事の幅を広げるために取り組んでいました。1970年頃のことです。仕事はアニメだけに限らず、ナレーション、映画の吹き替えなども。それがアニメ人気を受けて80年頃、アニメ声優を目指す人が増えました。同時期には声優事務所、養成所も増えました」

と説明する。

   そして90年に入ると「アイドル声優」が誕生した。アニメファンの一人は「声優としてはじめて日本武道館コンサートを実現した椎名へきるさん、ヒット曲を連発した林原めぐみさんが方向付けをしたのではないか」と見る。彼女たちは歌唱力に加え、ルックスも魅力的だったのだ。

   ではなぜ、声優がこれほど注目を集めるのか――。角川書店の声優専門誌「VOICE Newtype」副編集長・吉本隆彦さんは、「声優はキャラクターに声を吹き込むだけではなく、キャラクターソングを歌うこともあります。作品の『顔』なのです。そのキャラクターの声を作り出す声優は必然的に、注目されるのでしょう」と話す。

   もっとも、アイドル声優が続々と登場するのは

「ブームという状態を越え、ひとつのジャンルとして確立されてきているように思います。それは(オリコンチャート上位にもランクする)音楽シーンをみても明らか。時代のニーズに応えているのでしょうか」

と指摘している。

   吉本さんによると、キャラクターに声を吹き込む声優はエンターテナーとしての資質にもたけ、アーティストとしてのポテンシャルも高いという。何万人もの聴衆を魅了できるのもそのためだ。ちなみに、最近の傾向としては女性声優だけでなく、男性声優の人気も出てきており、女性ファンの心もつかんでいるそうだ。

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