「アイドル声優」はひとつのジャンルとして確立される
東京アニメセンターの千田浩司さんは
「声優の仕事は元々、舞台俳優さんたちが仕事の幅を広げるために取り組んでいました。1970年頃のことです。仕事はアニメだけに限らず、ナレーション、映画の吹き替えなども。それがアニメ人気を受けて80年頃、アニメ声優を目指す人が増えました。同時期には声優事務所、養成所も増えました」
と説明する。
そして90年に入ると「アイドル声優」が誕生した。アニメファンの一人は「声優としてはじめて日本武道館コンサートを実現した椎名へきるさん、ヒット曲を連発した林原めぐみさんが方向付けをしたのではないか」と見る。彼女たちは歌唱力に加え、ルックスも魅力的だったのだ。
ではなぜ、声優がこれほど注目を集めるのか――。角川書店の声優専門誌「VOICE Newtype」副編集長・吉本隆彦さんは、「声優はキャラクターに声を吹き込むだけではなく、キャラクターソングを歌うこともあります。作品の『顔』なのです。そのキャラクターの声を作り出す声優は必然的に、注目されるのでしょう」と話す。
もっとも、アイドル声優が続々と登場するのは
「ブームという状態を越え、ひとつのジャンルとして確立されてきているように思います。それは(オリコンチャート上位にもランクする)音楽シーンをみても明らか。時代のニーズに応えているのでしょうか」
と指摘している。
吉本さんによると、キャラクターに声を吹き込む声優はエンターテナーとしての資質にもたけ、アーティストとしてのポテンシャルも高いという。何万人もの聴衆を魅了できるのもそのためだ。ちなみに、最近の傾向としては女性声優だけでなく、男性声優の人気も出てきており、女性ファンの心もつかんでいるそうだ。