金融庁がコワモテの力を背に対応を迫る
他方、小泉内閣の竹中平蔵金融相時代、不良債権処理を優先するあまり、金融機関が中小企業向け融資の回収に走る「貸しはがし」の嵐が吹き荒れ、社会問題になった。そこで、世論に押された金融庁は、中小企業向け融資の不良債権認定を事実上緩める方向に大きく舵を切った。2003年ごろの話だ。こうして中小企業融資に「理解がある」金融庁のもう一つの「優しい」顔も出来上がった。
今回の臨時措置法の「報告義務」は、金融庁が金融機関に対し、コワモテの力を背に、優しい対応を迫る構図だ。
民主党はマニフェストの政策各論に、「地域金融円滑化法」制定をうたっている。今回の臨時措置法は、その一部の先取りといえるものだ。民主党の地域金融円滑化法案は、金融庁が、地域住民、中小企業への融資、地域産業振興への貢献などについて金融機関が同取り組んだかを報告させ、金融庁は報告を元に金融機関の地域への寄与度を評価し、公表するという内容。金融庁が「公表」した結果を見て、判断するのはあくまで利用者ということではあるが、そこは「コワモテ」金融庁のこと。「金融機関は今以上に金融庁の顔色を伺うことになる」(地域金融に詳しい学者)といった指摘もある。
検査要員確保などを名目に行革の中でも着々と職員を肥大化させる金融庁の栄華は続きそうだ。