俳優の押尾学元被告(31)が合成麻薬MDMAを使用し一緒にいた女性が死亡した事件で、警視庁は2009年12月4日、同被告がこの女性にMDMAを渡したとして麻薬取締法違反(譲渡)の疑いで逮捕状を取った。押尾元被告は「薬は女性からもらった」と法廷で証言していたが、逮捕事実どおりならば、証言はデタラメだったことになる。
押尾元被告は8月3日に東京都港区のマンションでMDMAを使ったとして麻薬取締法違反(使用)容疑で逮捕・起訴され、懲役1年6月、執行猶予5年の有罪判決が確定している。今回新たに「譲渡」容疑で逮捕状が出たと、各紙が報じた。
法廷で「女性が薬をもってきた」と証言
事件現場で使われたMDMAは、押尾元被告と女性のどちらが用意したものなのか。押尾元被告は「女性だ」と主張してきたが、警視庁が入手ルートを捜査したところ、同被告が入手して女性に渡した疑いが強まったという。
産経新聞サイトに掲載された「法廷ライブ」には、10月23日の初公判での押尾元被告の証言が記録されている。「MDMAは自分で持ってきたのですか」という弁護人の質問に対して、押尾元被告は
「違います」
と回答。「誰が持ってきたのですか」と尋ねられると、
「相手の女性です」
と答えている。
裁判官「押尾被告の言動はおよそ信じがたい」
法廷では、押尾元被告が送ったメールの文面も問題になった。同被告は女性に会う前に「来たらすぐいる?」というメールを送っている。この意味について検察官に問われると、押尾元被告は
「『僕自身を要るか』という意味で、『薬がいるか』ということを聞いたわけではありません」
と証言した。検察官は
「普通は、『いる』というのは、モノのことを言うんじゃないんですか」
と問い正したが、押尾元被告は
「人によってとらえ方は違うと思います」
と答え、MDMAは女性が用意したという主張を繰り返した。しかし、このような説明は不自然で、説得力に欠ける。裁判官も納得できなかったようで、11月2日の判決公判の 際、次のように述べた。
「MDMA使用がどのような経緯で行われたかという点の被告人の説明は、内容が不自然であり、自身が認めている犯行発覚までの経緯や発覚後の言動も、およそ信じがたい」裁判官がこのような見解を付け加えるのは異例のことといえるが、マンションでいったい何が起きたのか、押尾元被告の口から真相が語られることが期待される。