鳩山由紀夫、邦夫兄弟が、母親の安子さん(87)から月1500万円もの資金提供を受けられたことが話題になっている。「子ども手当」とも皮肉られた鳩山家の埋蔵金は、ある原資にあった可能性があるらしいのだ。
鳩山政権の目玉政策「子ども手当」は、実現すれば、子ども1人につき月2万6000円が支払われる。ところが、鳩山家の場合は、なんとその500倍以上の月1500万円が払われていたというのだ。これはもちろん、安子さんから受けていた資金提供を自民党側が揶揄した言い方に従えば、の話だ。
母親安子さんが結婚時に1300万株持参?
新聞各紙によると、鳩山由紀夫首相ばかりでなく、弟の自民党・鳩山邦夫元総務相も毎年、資金提供を受けていたことが分かった。分かっただけで、2003~08年の6年間で、2人合わせて毎年3億6000万円、計21億6000万円もの提供があったと報じられている。
邦夫氏は09年12月2日、記者団に「寝耳に水」と答え、由紀夫氏も知らなかったとしている。東京地検特捜部の調べに対し、鳩山家関係者は、違法にはならない「貸付」だったと供述しているという。
しかし、これだけ高額なのに、借用書の存在が確認されていない。もし、「寄付」であれば、法定上限の年間150万円を超えて政治資金規正法違反の疑いがあり、「贈与」であれば、半額ほどの贈与税を支払わなかった脱税の疑いがあることになる。特捜部では、安子さんの退院後に事情を聞く模様だ。
どうして、こんな巨額の資金があったのだろうか。
そのカギは、安子さんが、ブリヂストンを創業した故・石橋正二郎の長女というお嬢様育ちにあるようだ。結婚したとき、同社の株式1300万株を持参したとされ、それが原資になっているらしいのだ。
1991年の有価証券報告書で、安子さんが全体の1.5%、1200万株ほど保有しているのが確認されており、現在も同じ程度だとみられている。09年12月2日の同社株の終値が1450円だったため、現在は、174億円ほどの資産になる計算だ。
配当金だけで、年間3億円前後!
これだけの資産があれば、株を売買しなくても、配当金だけで巨額になってしまう。
ブリヂストンの株は、2009年は16円の年間配当金になると予想されており、1200万株なら、1億9000万円にも上る。鳩山由紀夫、邦夫両氏が03~08年に母親の安子さんから資金提供を受けていたときは、金融危機後の現在より株高だったため、年間3億円前後の配当金だったとみられる。
つまり、これは、2人への資金提供額に近いのだ。単純に言えば、安子さんは、ブリヂストン株の配当金を2人に公平に分け与えていたことになるわけだ。報道によると、この期間、計36億円を現金で引き出しており、その6割ほどが資金提供に使われていた。
安子さんは、兄弟が政治家になるときにポケットマネーを出し、1996年に民主党を結党したときも億単位の資金を出している。今回は、2人が首相候補になるために使ってもらおうと、援助したのだろうか。とはいえ、資金提供が事実だとすると、2人は、現在に至るまで親離れできていないことになる。
そのうえ、母親の資金提供を知らなかったというのだ。
自民党の石破茂政調会長は、「月に千数百万円の金を知らないというのは常識ではありえない。この人の政治感覚は何なの」と首をひねっていた。
由紀夫氏は、偽装献金を「すべて自分の金だ」と説明していたが、それが早くも覆されそうになっている。いつになったら、「手当」の意味を1人で説明できるようになるのだろうか。