作者亡き後の「クレヨンしんちゃん」のキャラクターを使った漫画が、2010年夏にも新たに始まる予定であることが分かった。双葉社の「月刊まんがタウン」編集部が、その意向を明らかにした。一部で報じられた「続編」になるかは未定だが、別の作者になる可能性もあるため、ネット上では賛否両論が出ている。
「クレヨンしんちゃん」ファンには衝撃のニュースが2009年12月1日、一部スポーツ紙から飛び出した。
「新しい作家」の起用を検討?
作者の臼井儀人さん(51)が登山中に滑落死したため、月刊まんがタウンにおけるオリジナルの連載は、2010年2月5日発売の3月号で幕を閉じる。ところが、同年夏にも、しんちゃんの「続編」が始まる方向だというのだ。
スポーツ紙の記事によると、同誌では、「新しい作家の起用など」を検討したり、「別の作家や(臼井さんの)工房による新連載」を準備したりしている。臼井さんの遺族と、連載を継続する方向で話し合っているとも報じられた。これらは、09年11月30日に東京都内で行われた臼井さんの思い出を語る会で出た情報だった。
「続編」に対し、ネット上の反応は、2つに分かれている。
「あのセンスは他人には無理」「それはもう違う漫画だろ」といった批判から、「いいんじゃないの」「双葉社だって命懸かってんだよ」といった理解の声まである。これらは、2ちゃんねるの書き込みだ。
ミクシィの「クレヨンしんちゃん」コミュニティでは、「続編」についてのトピックが立てられ、活発な意見交換が続いている。
コミュニティのアンケートには、メンバー100人余から回答があり、「嬉しい。臼井さんじゃなくても是非続きを読みたい」「嫌だ。臼井さんのしんちゃんじゃないと読みたくない」がほぼ半々だった。ファンも複雑な心境のようだ。
「国民的なキャラを何とか続けていきたい」
ほかの国民的人気漫画は、作者が亡くなった後、どうしているのか。例えば、あの「サザエさん」だ。
長谷川町子美術館の担当者によると、原作の4コマ漫画における続編は一切ないという。
「先生は、最初から最後まで、弟子やスタッフが1人もいませんでした。ですから、続編は考えられないんです。アニメなども、原作をもとに脚本を書いてもらっていますよ」
「クレヨンしんちゃん」は、臼井さんの妻や娘2人などが漫画工房のアシスタントをしているとされる。とすると、「続編」がもし本当なら、家族らが漫画を手がけるのか。あるいは、別の新しい作者になるのか。
この点について、「月刊まんがタウン」の鈴木健介編集長は次のように説明する。
「『続編』の形になるかは、分かりません。それを含めて検討しており、作者を誰にするかなども決まっていません。今後、しんちゃんのキャラクターを使った漫画を掲載したいということです。それは、キャラクターが国民的人気を得ており、臼井先生が作ったこのキャラを何とか続けていきたいからです」
まんがタウンの編集部などには、読者から様々な反応が寄せられている。「続編」にネガティブな声もあるが、「続けて下さい」という応援の方が多いという。
「(臼井さんの)ご家族と相談しながら、読者の皆さまに納得していただけるような形を検討しています」