セブン&アイ・ホールディングス(HD)はチケット取次最大手のぴあと資本提携し、チケット販売を拡大する。ライバルのファミリーマートも業界3位のチケット発券サービス「イープラス」の扱いを新たに開始。コンビニでの「チケット販売戦争」が激しさを増している。
セブン&アイHDは2009年12月1日、ぴあに20%出資し、チケット販売業務で提携すると発表した。まずコンビニエンスストア・セブン-イレブンの店舗で、2010年秋を目途にチケットぴあの販売をスタートし、イトーヨーカ堂やそごう・西武、ヨークベニマルなどに広げていく予定だ。
チケット販売で来店のきっかけ作り
セブン&アイHDは、チケット発券サービス「イープラス」を展開するエンタテインメントプラスとも提携している。ぴあの取り扱いを始めることで、チケット販売の取扱高を09年度予想の300億円から12年度に750億円に引き上げる計画だ。
売上げが落ち込んでいるコンビニにとって、チケット販売は来店の機会をつくり、手堅い収入源になることから、どのチェーンも力を入れる傾向にある。セブン&アイHDとは逆に、従来から扱っていたぴあに加えて、09年10月からイープラスの取り扱いを本格的に始めたのがファミリーマートだ。
約700万人のイープラス会員を取り込み、チケットビジネスを強化する狙いだ。同社は、
「イープラスはネット販売の先駆けで、ぴあと違った強みを持っています。チケットの取り扱いを増やし、来店のきっかけをつくりたい」
といっている。
他のコンビニでは、サークルKサンクスがぴあを取り扱っているほか、am/pmが「CNプレイガイド」を展開するコミュニティネットワークと提携。ローソンは子会社ローソンエンターメディアのチケットを扱っている。
不況でも好調な「チケット取次業界」
コンビニがチケット販売に力を入れる背景には、不況にもかかわらず、チケット市場が拡大している点があげられる。チケット販売のルートには興行主が直接販売するもの、取次が興行主から請け負って販売するものなど複数ある。コンサートや映画、スポーツ観戦とさまざまなチケットが発売されるなか、取次の扱いが増えている。
日経MJ流通新聞が09年11月18日に発表した「第27回サービス業総合調査」によると、チケット取次の08年度売上高は9.8%増と、消費が冷え込む中でも音楽やスポーツのチケット販売は好調だった。各社のチケット販売部門売上高は業界最大手のぴあが1116億700万円(前年比4.1%増)、ローソンエンターメディアは729億9300万円(同比21.2%増)、エンタテインメントプラスが452億5500万円(同比12.6%増)といずれも増加している。
なかでも伸びているのはPCサイトやモバイルサイトによるネット販売で、ローソンエンターメディアではネット販売の比率が約3割に達したほか、ネット販売の先駆けであるエンタテインメントプラスも前年比2ケタ増と健闘している。