ツイッター向けに、日本の関連会社が有料サービスを導入することになった。芸能人らがファンらから課金して、つぶやきなどを配信するものだ。軌道に乗れば、インディーズ系やオタク系などの新人が売り出すのに利用できるようだ。
一時は、ツイッター本体が有料サービスを始めるという誤った情報が、一部IT系メディアを通じて流れた。日本で米ツイッター社の事業展開を支援しているデジタルガレージの子会社、DGモバイルの杉建一取締役COOが発言した内容が誤解されたからだ。
ツイッター本体がやると誤った情報も
杉COOによると、東京都内で2009年11月25日にあったモバイル業界の会議で明らかにしたのは、ツイッター外部の仕組みで課金できる自社サービスのことだった。
APIを利用してツイッターとリンクしたサービスで、芸能人らがフォロワーにつぶやきを配信したり、コンテンツを販売したりする際に課金する。アメリカのサービス事例では、月額100~1000円を徴収したり、つぶやきごとに100~1000円を個別に課金したりするシステムや、コンテンツ販売のシステムがある。そして、サービスを運営する自社側では、その中から3割の手数料を徴収する。日本の自社サービスでは、同じ内容になるかはまだ決まっていないとしている。
報道では、2010年1月にもサービスが始まるとされたが、まだ流動的だという。DGモバイルでは、ツイッターにリンクした動画配信サービス「twitvideo」をすでに09年10月5日から始めている。杉COOは、「動画サービスと同様に、つぶやきなども配信できればということです。会議での発表タイトルなどが記者に誤解され、ツイッター本体がやると報じられてしまいました」と説明している。
親会社のデジタルガレージも11月28日、取締役のブログを通じ、ツイッター本体の有料サービスを否定した。DG モバイルが「誤解を招きかねない説明を行ったことが発端」として謝罪している。
「アメーバなう」のライバルに?
デジタルガレージなどによると、ツイッター本体には有料サービスはなく、その予定もないという。あくまで無料サービスというのがスタンスだとしている。
一方で、アメリカやアジアでは、外部の仕組みで課金できるサービスがあり、芸能人ユーザーらが利用しているようだ。米ブログサイト「TechCrunch」の日本語版の2009年11月29日付記事によると、フィリピンには、購読料を払って芸能人らから短いメッセージを受け取る「KText」というサービスがあり、一部芸能人には、数万人の有料購読者がいるという。
「Twitter社会論」を出版したメディアジャーナリストの津田大介さんは、DGモバイルが予定中の新サービスの可能性について、こう指摘する。
「芸能プロが『iモード』などに公式サイトを開設するには、多くの書類が必要な厳しい審査を通らなければなりません。その点、そうした審査もなく手軽に開設できる新サービスが評価されれば、オプションの一つとしてファンクラブ的なものを運営するようになるかもしれませんね」
活用が考えられるのが、インディーズ系のミュージシャンやコスプレで人気の女の子など、これから売り出す新人ではないかという。芸能人向けサービスでは、サイバーエージェントが12月8日にも公開するミニブログ「アメーバなう」がある。しかし、同社はギャラを出して芸能人を集めており、ツイッターなら、依頼されないような新人でも活躍のチャンスがありうるというのだ。
もっとも、津田さんは、こうも言う。
「アメーバとは棲み分けが進むでしょうが、ツイッターでは、つぶやきが無料だから人が集まっています。いきなり有料化してどのぐらいアクセスがあるかは疑問ですね。サービス自体も、有料メルマガの延長で、そんなに目新しいものではありません。お金を払ってまで読みたいつぶやきがあるか、などが厳しく問われるでしょう」