不景気で「かつら不況」 大手2社が減収減益

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   高いもので80万円する「かつら」が、不景気の影響を受け、売れなくなっている。アデランス、アートネイチャーの大手メーカー2社が発表した上半期決算によると、両社とも減収減益だった。

   アデランスの2010年2月期上半期の連結決算(09年3月1日~8月31日)は、売上高が前年同期比15.7%減の304億400万円、営業損失が1億8600万円(前年同期は10億8000万円の黒字)、経常損失が8900万円(同13億2700万円の黒字)。

新規、リピートともに低迷

   304億400万円のうち日本での売上高は、219億8000万円(前年同期比10.9%減)。オーダーウィッグについては、新規顧客売上が前年同期を大幅に下回ったほか、既存顧客も低迷し、売上高は前年同期比12.6%減の112億5400万円となった。既製品についても景気が低迷して買い控えが進んだ上に、百貨店が閉鎖されて販売拠点が減少し、売上高は前年同期比10.1%減の38億200万円だった。毛髪関連商品は同13.6%減の19億2400万円、理容室などのサービス収入は同6.6%減の47億1100万円と、軒並み前年を割り込んだ。

   今後の方針についてアデランス広報担当者は、

「男性市場の拡大は難しく、現状の規模を維持していくことになると思います。とはいえ新規顧客を増やさないとリピートにつながりませんので、男性用は競合商品との差別化を強化し、女性用については百貨店などで展示試着会を行い、拡販につなげたいと思います」

と話している。

   アートネイチャーの2010年3月期上半期の連結決算(09年4月1日~9月30日)は、売上高が前年同期比6.9%減の138億1600万円、営業利益は同59%減の5億7400万円、経常利益は同66.5%減の5億2800万円だった。

   男性用オーダーメードの売上げは前年同期比9.3%減の59億7200万円。個人消費の低迷で新規顧客の取り込みが厳しかったほか、リピートについても買い替えサイクルが長期化して売上げが前年を下回った。一方、女性用オーダーメードは、リピート売上げが前年を上回ったが、新規は下回り、前年同期比4.9%減の34億6100万円だった。増毛商品の販売や理美容サービスは前年を上回ったものの、売上高構成比の大部分を占めるかつらの伸び悩みが痛手となった。

植毛や医薬品にシフトしている?

   オーダーメードのかつらは高いもので80万円する。頭の型どりしてベースを作り、そこに毛を1本1本手作業で植え付けていくため、人件費がかかる。さらに飛び込み営業がしづらいので、広告費を莫大にかけているのも響いている。

   高額なかつらでも1回買ったら終わりではなく、定期的なメンテナンスも必要だし、数年経ったら買い替えないといけない。特に1日中つけていることが多い男性の場合は皮脂で傷みやすく、2~3年おきに交換しなければならない。痛みが少なくても、薄毛の進行具合にあわせて買い替えとなる。高額な上に消耗品とあって、不況下ではなかなか手が出しにくくなっているようだ。

   日本毛髪業協会によると、かつら、育毛、増毛をあわせた市場規模は1400億円だ。このうち1000億円弱を占めるかつら市場は年々縮小傾向にあるという。

   協会の担当者は、

「かつらは高額ですので、不景気の影響を受けやすいんです。それでも女性用は伸びているほうですが、男性用は下降気味です。不景気の影響だけでなく、薄毛対策が植毛や医療機関の医薬品使用といった別の方法に移行しているのも、市場が縮小している要因です」

といっている。

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