円上昇1ドル80円で止まる?
もう一つ、ドル暴落を「サポート」しそうなのが、中国やロシアなどによる外貨準備の運用だ。米国の財政赤字などを理由に、中国やロシア、中東などの国々がドルの外貨準備の割合を減らす可能性があり、各国がこぞってドルを売れば、「大きなインパクト(ドル暴落)がある」(前出のFX関係者)と考えられている。
中国などドル資産を多く抱える国々は、ドル安による資産の目減りで、いまだって気が気でないはずだ。
仮にドルが「暴落」すれば、円も対ドルで急騰し、日本株暴落は避けられない。
こうした中で、市場の混乱を個人投資家はどう読めばいいのか、専門家に先行きを聞いてみた。
第一生命経済研究所主席エコノミストの嶌峰義清氏は、「短期的には米クリスマスセールの動向がカギを握る」とみている。セールが不振の場合には、米景気への不安感がさらに高まり、1ドル=80円程度まで円高が進む。逆に、それほど悪くなければ、85円前後にとどまると予測。相場水準は、しばらく87円をはさんで上下1~2円で推移するという。
前出のFX関係者は、「今回の円の急騰は一時的なもの」と指摘する。政府がデフレを認めたことや、米国と同様に日本も政策金利を上げられないので、「円高が進んだとしても年末まで、80~82円で推移する」とみている。
「ドル暴落」が懸念されるが、円の最高値の「1ドル79円75銭」を突破するのはそう容易ではないようだ。