高橋洋一の民主党ウォッチ
事業仕分けの限界 埋蔵金まだまだある

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日銀への「待った」怠った

   第2に政府のデフレ宣言。11月20日、月例経済報告の中で3年5か月ぶりに「デフレ」認識を公式に示した。デフレは物価の下落というが、実は所得が低下する。

   この原因は、足下のGDPギャップが40兆円程度、GDP比8%程度で先進国中最悪の部類であることだ。これを放置して、高い失業率と物価の下落を数年間我慢するか、財政政策と金融政策によってこのギャップを埋め成長経路への回復を急ぐかのふたつのオプションがある。政府がデフレ宣言したのだから、ギャップを埋めてデフレ克服するため、後者が選択されるとみるのが自然であろう。

   ところが、先に財政事情を説明したが、何とかやりくりはできるものの、大型補正予算を組むだけの余力はない。となると、金融政策への期待がかかる。ところが、日銀は10月30日、社債などの買い取りを年末で打ち切る方針を決めるなど、政府のデフレ宣言とは真逆の方向に走っており、政府との足並みはそろっていない。今になってこうしたデフレ宣言をするなら、政府は日銀に待ったをかけるべきであったが、それを怠った。今の白川方明日銀総裁を選任したのは、実質的には民主党である。そのため、日銀に対し民主党はきわめて甘い。この意味で、金融政策によってギャップを埋めることもできそうにない。ということは、デフレ宣言しても、ギャップを埋めずに、高い失業率と物価の下落が放置される可能性がある。

   ちなみに、日本のデフレは世界から見ても異常だ。11月19日に公表された経済協力開発機構(OECD)の経済見通しで、加盟30か国中、09年の物価上昇率がマイナスなのは、日本を含め8か国あるが、2年続けてマイナスは、日本とアイルランドだけだ。実は日本は3年連続マイナスで、これは唯一の国だ。

   民主党の経済運営は手詰まりになるかもしれない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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