地元の名物「B級グルメ」 一大ブームになった理由

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   安くてうまい地元料理「B級グルメ」が脚光をあびている。関連イベントは大盛況、専門家は「『食』が地元をPRする有効な資源ということに気づいたため」と指摘する。

   B級グルメとは、安くてうまい、地元の人に愛されている「ご当地」料理のことを言う。2006年2月、ご当地グルメ日本一決定戦「B-1グランプリ」の開催で、人気に火が付いた。参加者の投票で、一番のB級グルメを決めようという試みだ。この時優勝したのが「富士宮(静岡県)やきそば」だ。

3時間で食べ物品切れ「九州B-1グランプリ」

埼玉県秩父市で行われた「第5回 埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」の様子。人気のブースでは1時間以上待つ人もいた
埼玉県秩父市で行われた「第5回 埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」の様子。人気のブースでは1時間以上待つ人もいた

   「第1回大会」は10団体しか参加しなかった。だが、これを機に、全国には地元に根ざした「B級グルメ」団体が数多くあるのがわかり、2006年7月には交流を目的にした団体「B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会(通称:愛Bリーグ)」も設立。大会は、愛Bリーグが主催するかたちで毎年1回、開催されることになった。

   2009年は「第4回大会」が9月19日・20日、秋田県横手で行われたばかりだ。全国から集まったB級グルメ26品の中から、地元の名物料理「横手やきそば」がグランプリに輝いた。2日間で訪れた人は約27万人。その後も、他県からの観光客増加に一役かっている。

   B級グルメ人気もあって、愛Bリーグへの加盟団体が今では47団体に増えた。このため、本大会とは別に、地域ごとの大会も開かれることになった。九州地区だけのB級グルメを集めた「第1回九州B-1グランプリ」(2009年11月7日・8日)。このイベントには、2日間で参加者約18万人が詰めかけた。料理は300~400円。午前10時に始まり、午後1時には食べ物が品切れの事態に。最終的には5万食が完売し、グランプリには「久留米やきとり」が選ばれた。12月5日・6日には、今度は青森県八戸で、東北地区の料理を集めた「東北B-1グランプリ」が控えている。

B級グルメは「東高西低」、東北地方に多い

   一方、これとは別に、地方自治体が地域内の料理を集めたイベントも行われている。埼玉県では2006年、県内の料理を集めた「埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」を開催した。反響がいいので、5月の連休と秋口の年2回開催が定着しているという。第5回大会は2009年11月14日、「埼玉県民の日」にあわせて秩父市で行ったが、雨天にも関わらず、3万5000人が足を運んだ。優勝は秩父市の郷土料理「みそポテト」だった。

   埼玉県観光課は、イベント開催のきっかけを「埼玉にはこれといった観光資源が少ないと言われ続けてきた。それが、行田市の『ゼリーフライ』をはじめ、県内には地元の人なら知っている『ご当地メニュー』がわりとたくさんあった。埼玉をPRするのに、これは有力なコンテンツになるだろうと企画した」と明かす。予想以上の評判には驚いているといい、料理目当ての観光客も増えてきたようだ。

   ではなぜ、B級グルメがこれほど盛り上がっているのか――。行政学・地方自治の専門で、B級グルメによる地域振興にも詳しい新潟大学・田村秀教授は、「街おこしのネタとして、(B級グルメを)掘り起こそうという動きがある」として、こう指摘する。

「実は1990年代にも各地では小規模なイベントはありました。今の盛り上がりは2006年にあった『B-1グランプリ』が火付け。地元では当たり前すぎた料理だったのが、実は、地元をPRする有効な資源ということに気づいた。温故知新というわけでしょうか、伝統的な料理が見直されているようです」

   不況の影響も挙げる。イベント自体にもあまりお金をかけられない中で、B級グルメのイベントは金銭的にも手軽に開催できる。集客を見込めるとあって、独自開催も広がっているというわけだ。

   そのため、田村教授は「このブームはしばらく続きそうだ」と見ている。ほかならぬ、田村教授もすでに200を超える「B級グルメ」を食しているが、「それでも、まだまだ知らないグルメがあるくらいですから。ちなみに余談ですが、B級グルメは『東高西低』で、東北地方に多いようです」と話していた。

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