地元の名物「B級グルメ」 一大ブームになった理由

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B級グルメは「東高西低」、東北地方に多い

   一方、これとは別に、地方自治体が地域内の料理を集めたイベントも行われている。埼玉県では2006年、県内の料理を集めた「埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」を開催した。反響がいいので、5月の連休と秋口の年2回開催が定着しているという。第5回大会は2009年11月14日、「埼玉県民の日」にあわせて秩父市で行ったが、雨天にも関わらず、3万5000人が足を運んだ。優勝は秩父市の郷土料理「みそポテト」だった。

   埼玉県観光課は、イベント開催のきっかけを「埼玉にはこれといった観光資源が少ないと言われ続けてきた。それが、行田市の『ゼリーフライ』をはじめ、県内には地元の人なら知っている『ご当地メニュー』がわりとたくさんあった。埼玉をPRするのに、これは有力なコンテンツになるだろうと企画した」と明かす。予想以上の評判には驚いているといい、料理目当ての観光客も増えてきたようだ。

   ではなぜ、B級グルメがこれほど盛り上がっているのか――。行政学・地方自治の専門で、B級グルメによる地域振興にも詳しい新潟大学・田村秀教授は、「街おこしのネタとして、(B級グルメを)掘り起こそうという動きがある」として、こう指摘する。

「実は1990年代にも各地では小規模なイベントはありました。今の盛り上がりは2006年にあった『B-1グランプリ』が火付け。地元では当たり前すぎた料理だったのが、実は、地元をPRする有効な資源ということに気づいた。温故知新というわけでしょうか、伝統的な料理が見直されているようです」

   不況の影響も挙げる。イベント自体にもあまりお金をかけられない中で、B級グルメのイベントは金銭的にも手軽に開催できる。集客を見込めるとあって、独自開催も広がっているというわけだ。

   そのため、田村教授は「このブームはしばらく続きそうだ」と見ている。ほかならぬ、田村教授もすでに200を超える「B級グルメ」を食しているが、「それでも、まだまだ知らないグルメがあるくらいですから。ちなみに余談ですが、B級グルメは『東高西低』で、東北地方に多いようです」と話していた。

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