迷走する普天間基地の移設問題や鳩山首相の政治献金疑惑、そして国会での強行採決――鳩山内閣のイメージダウンにつながるような出来事が最近続いている。それにもかかわらず、内閣支持率が維持されるという意外な結果が出た。その原因は「事業仕分け」にあるとみられる。蓮舫議員の厳しい表情とともに連日テレビで報道された行政刷新会議の事業仕分けは、はからずも「鳩山政権の目玉事業」となって、政権の下支えに貢献している。
産経新聞とFNNが2009年11月21日と22日に実施した世論調査で、鳩山内閣の支持率は62.5%を記録。前回調査(10月17日、18日)よりも1.6ポイント高い数字だった。一方、同じ日に毎日新聞が実施した世論調査の内閣支持率は64%。こちらは前回調査(10月17日、18日)から8ポイントの減少だったが、6割以上の高い支持率であることには変わりない。
「民主党の広報活動としてはすごく効果的」
いずれの調査でも、高評価の背景にあるのは行政刷新会議が進める「事業仕分け」だ。産経新聞の調査では、事業仕分けを「行政の無駄の洗い出しに役立つ」と評価する回答が88.7%にも達した。毎日新聞調査でも、事業仕分けを「評価する」という声が74%にのぼった。普天間問題や日本郵政人事といった他の論点では「評価しない」という回答が過半数を超えているのとは対照的だ。事業仕分けのプラスイメージが鳩山内閣の支持率につながっている構図がくっきりと浮かび上がる。
公衆の面前で予算のムダを洗い直す――そんな触れ込みの事業仕分けは、約10日前の11月11日から1週間かけて「前半戦」が実施された。民主党の枝野幸男衆院議員や蓮舫参院議員を始めとする仕分け人と、予算を請求する側の官僚や現場担当者たちの激しいやりとりがテレビで大きく報道され、国民の関心を強くひきつけた。
「まるで公開処刑だ」とか「政治主導ではなく財務省主導」といった批判もあったが、仕分けの様子を報道陣だけでなく一般市民にも公開し、インターネットでライブ中継したり、資料を見たりできるようにした「透明性」が高く評価されたようだ。
蓮舫議員という見栄えのするキャラクターを前面に出した戦略も当たった。「人選が絶妙」というタレントの松尾貴史さんは11月24日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)で
「テレビ的というか、民主党の広報活動としてはすごく効果的になっているんじゃないですかね」
と、その宣伝効果の大きさを評価した。