百貨店が1年でもっとも活気づく「福袋」のシーズンがやってきた。不景気で高額商品が売れなくなっているので、福袋もお手頃価格のものがたくさん出るようだ。世相を反映した福袋も登場する。
三越銀座店はワンピースにファーボレロ、レザーグローブなどをセットにした「YES,WE CAN!ファーストレディに華麗にチェンジ!」を3万1500円で販売するほか、「肉食系女子」や「婚活女子」のためのチェンジ福袋もある。
低価格の福袋が多くなる?
三越伊勢丹ホールディングの広報担当者は、
「銀座店はOLのお客様が多いので、世相を意識したキャッチーなタイトルの福袋を目玉にしています」
といい、女性向け福袋に力を入れる。
高島屋は「婚活」をテーマにした衣料品の福袋を展開する。食料品では地域の名産品をそろえた「地産地消福袋」を企画している。日本橋店は東京野菜などのセットを5000円で、新宿店と玉川店は東京シャモと清瀬野菜の鍋セットを5000円で販売。ここ数年話題の体験型の福袋では、「野菜収穫体験」(5000円)や一流のプロが美しくしてくれる「ビューティマダムプロジェクト」(8万8888円)などがある。
松坂屋と大丸を運営するJ.フロントリテイリングは詳細を詰めている最中で、広報担当者は、
「全般的に高額品の動きがにぶいので、低価格の福袋が多くなると思います。一方でいくら安くてもいらないものは買わないというお客様も増えているので、いろんな商品が入った総合福袋ではなく、中身が見えてブランドごとに分かれている福袋に人気が集まりそうです」
と話している。
食料品福袋、ネット受注が前年の80%増
最近は福袋をネットで予約することができて、福袋商戦が年々早まっている。受け取りは2010年1月2日以降になるが、初売りの行列に並ばずに手に入ると人気を呼んでいる。 高島屋は生活に欠かせない食料品の福袋を強化した。長崎県産の干物を詰め合わせた「長崎ひもの福袋」は真あじ、さば、やりいか、連子鯛が2つずつ入って3150円。焼酎6本セットは6300円で、ワイン6本セットは4200円で販売する。レトルトカレーや魚沼産こしひかりのパックなどがセットになった「保存食福袋」といった変わり種もある。
食料品の福袋は人気が高く、完売品も出てきている。高島屋広報担当者は、
「(食料品の)受注状況は前年の80%増で、2倍弱伸びています」
と好調ぶりを明かす。
松坂屋では「お出かけ」をテーマにした福袋の予約をウエブで受け付けている。キャリーケース、ダウンコート、1000万画素デジタルカメラなどが入って3万円と、ダウンコート、一流メーカーの2009年モデルの腕時計などセットで1万円の2タイプがある。それぞれ200個限定だ。
東武百貨店池袋店もウエブで予約できる約130種類の「はや得福袋」を扱っている。すきやき用松阪牛が500g入った「松阪牛贅沢すき焼き袋」(5000円)や「婦人雑貨10点まるごと福袋」(1万円)などがある。