銀行に貸金業法は「適用されない」
総量規制は多重債務者の救済を目的としているが、銀行の住宅ローンや教育ローンなどは対象にならない。カードローンも銀行のものであれば対象外だし、「おまとめローン」も外れている。
金融庁は、「そもそも、貸金業法は消費者金融や商工ローンを対象とした法律なので、銀行には適用されません」と説明する。
現在、東京スター銀行の「おまとめローン」は年収の3分の1を超えて借金がある人でも利用できる。同行は「いまのところ総量規制による駆け込み需要のようなことはない」(広報担当者)というが、「最近は貸金業者も融資審査を厳しくしているので、返済負担を軽くして借り入れ余力を残したいという人は少なくないはず」と、前出の貸金業関係者は実施時期が近づくにつれて利用者が増えると予測する。
金融庁は、「総量規制にかかわらず、貸金業法には過剰貸付の禁止事項があるので、お金が返せないのに貸せば、法令に基づいてきちんと措置します」と貸金業者を牽制する。しかし個人の融資情報は、消費者金融やクレジットカード会社であれば「共有」しているが、現在、銀行が保有する個人情報を貸金業者が閲覧できる仕組みはない。
そのため、銀行の情報を知らない貸金業者が多重債務者やその予備軍に、再びお金を貸してしまう可能性はある。