普天間基地移設に「関空」活用? 仰天プランが急浮上

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   沖縄の米軍普天間基地の移設問題が迷走しているが、ここへきて基地移設に「関西空港」を活用するという仰天プランが急浮上している。沖縄県選出の下地幹郎衆院議員らが提案している案で、岡田克也外相の私案とも矛盾しないという。現行計画を押し切って実現する可能性はあるのか。

   これは岡田外相も唱えている「嘉手納基地統合案」の変形バージョン。米海兵隊が使用している普天間基地(宜野湾市)の機能の大半を嘉手納基地(嘉手納町など)に統合する一方で、嘉手納基地で行われている戦闘機の離発着訓練を、関西空港や佐賀空港、静岡空港などの国内の民間空港に分散させようというプランだ。これにより、嘉手納基地の離発着回数が減少し、騒音も減らすことができるというのだ。

「一石ニ鳥どころか、三、四鳥の成果を生むプラン」

嘉手納統合案について「何度も日米双方から提案されたということは、それなりの可能性もある」という岡田克也外相
嘉手納統合案について「何度も日米双方から提案されたということは、それなりの可能性もある」という岡田克也外相

   下地議員が2009年11月13日に自らのホームページで明らかにした「新嘉手納統合案」によれば、年間7万回ある嘉手納基地の離発着のうちの3万回以上は米国本土などからの外来機のもの。それらを沖縄県内の伊江補助飛行場や稼働率が悪い関西空港のB滑走路、静岡空港、佐賀空港といった本土の空港に移す。さらに嘉手納所属のF15戦闘機部隊の一部を岩国基地や三沢基地に移動させることで、離発着回数を半減できるという。

   下地議員は11月2日の衆院予算委員会でこの案を披露し、

「統合で1+1が2になるのではダメ。1+1が0.5になるというのが、私の嘉手納統合案。関西の空港であっても、静岡の空港であっても、沖縄の米軍基地の負担軽減をやるというのだったら、みんなで協力してやりましょうよ」

と呼びかけた。関空を米軍基地として活用するというプランは、11月17日発行の夕刊紙・日刊ゲンダイでも取り上げられた。記事の中では、『血税空港』で航空行政の実態を暴いたジャーナリスト・森功氏の次のようなコメントが紹介されている。

「浮島である関空に基地を持ってくれば、騒音問題や沖縄住民の負担は一気に解決します。何より、辺野古移設に伴う莫大な滑走路建設費用が浮く。その分を関空の負債返済に回してもいい。日米間の軍事空域の問題は残りますが、一石二鳥どころか、三、四鳥の成果を生むプランです」

   下地議員のプランを11月20日放送のラジオ番組『お早うGood Day!』(ニッポン放送)で紹介したフリージャーナリストの岩上安身さんも、嘉手納統合案に強い関心を示す。

「これまでの沖縄の基地は、戦争時に米軍が占領した土地という特殊性があった。しかし現行計画の辺野古案を本当に認めてしまうと、外国の基地を新たに国内に作ることになる。これは政治的には、いわば『属領』であると認めること。日本の保守派が現行計画を受け入れるとするならば、不思議なことだ」

   一方、軍事ジャーナリストの田岡俊次さんは、関空など民間空港への離発着訓練の移転には懐疑的としつつ、次のように語る。

「民間空港を利用する案は、日本側にとって受け入れが困難だろう。ただ、三沢基地については、米空軍のF16戦闘機40機を米国本土に引き上げようという動きもある。嘉手納のF15戦闘機48機を三沢に移すという案ならば、可能性があるだろう」
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