民主党の小沢一郎幹事長の「政治とカネ」にまつわる疑惑が相次いで浮上している。2009年11月19日付の産経新聞は朝刊1面で「小沢氏側に5000万円 ダム工事受注 裏金か」、また同日の毎日新聞トップには「秘書給与の寄付強要 小沢氏秘書から」の見出しが躍った。秘書が逮捕された西松建設問題の捜査が続いているなかで、小沢氏周囲に次ぎから次へと出てくる疑惑に、小沢氏側は「火消し」にまわっている。
小沢氏の「政治とカネ」をめぐる今回の報道は、2009年3月に準大手ゼネコンの西松建設のダミー献金事件をきっかけに、特捜部が小沢氏とゼネコンとの不透明な関係にしぼって捜査を進めている中からでてきたとされる。
疑惑の舞台は「陸山会」なのか
それにしても、「またか」といった印象だ。疑惑の舞台は小沢氏の資金管理団体の「陸山会」のようだ。西松事件で逮捕された公設第1秘書の大久保隆規被告が会計責任者を務めていたところだ。
産経新聞によると、陸山会による政治資金収支報告書の虚偽記載問題で、法人税法違反などで実刑判決を受けて服役中の、水谷建設元会長の水谷功受刑者が東京地検特捜部の事情聴取に対して、「04年に小沢氏に少なくとも5000万円を持っていった」と供述。当時、岩手県の胆沢ダムの工事を水谷建設が受注していることから、特捜部はダム工事の受注が「5000万円」の見返りだった可能性があるとみている。
共同通信も、水谷建設の関係者の供述として、渡した金額は「5000万円が2度、計1億円」だったと報じている。
これに対して、小沢事務所は産経新聞の取材に「そのような事実はまったくありません」と、否定のコメントを出している。