「ウィニー」などを介しての著作物のダウンロードが問題化するなか、急速に普及が進んでいる「ツイッター」を悪用して、違法に複製されたマンガのダウンロードを促す利用者が確認され、波紋を広げている。過去には、マンガ雑誌の内容をスキャンし、ウィニーでインターネット上に「放流」して逮捕された事例がある上、違法コンテンツのダウンロード自体を違法化しようとする動きが進んでいるだけに、この「ツイッター」利用者は刑事・民事とも責任を追及されるのは必至だ。
問題とされているアカウントの名前には、末尾に「zip」という文字が含まれており、「つぶやき」の内容は、作品名とURLだけだ。例えば
「Detective Conan 名探偵コナン 713 ZIP」
という文字のあとに、特定サイトへのURLが貼り付けられている、という具合だ。
これまでに「つぶやいた」回数は800回以上
このケースでは、アニメ化されたことでも有名な「名探偵コナン」の第713話という意味で、URLにアクセスすると、「アップローダー」と呼ばれるファイルの保管庫にたどり着く。アップローダー上に表示されている文字列を入力すると、5~7メガバイト程度の「zip」と呼ばれる圧縮ファイルがダウンロードされ、zipの中にはマンガ雑誌をスキャンした画像ファイルが入っているという仕組みだ。
このアカウントが、これまでに「つぶやいた」回数は800回以上で、すでに300近い利用者がフォロー(すぐに内容を参照できるように登録)している。ツイッターという新しいメディアが、違法コンテンツの流通に悪用されている形だ。
早速、ネット上では
「おいこいつニュー速にさらされてたけど普通にだめだろwwwwwwwwwwwww」
「Twitterで『ジャンプ漫画』などをばらまくクズが出現」
といった批判的な声があがっている。
無断で誰でもダウンロードできる状態にすると犯罪になる
実は過去にも、マンガをネットワークに「放流」して立件されたケースがある。07年5月には、「週刊少年ジャンプ」(集英社)「週刊少年サンデー」(小学館)などの人気マンガ雑誌を発売前に入手し、その内容を「ウィニー」を介してネットワーク上に流出させていたとして、京都府警が大阪府と岩手県のいずれも20代の男と、東京都の少年(17)を著作権法違反(公衆送信権の侵害)容疑で逮捕してもいる。容疑者らは、一部書店で「フライング販売」されているマンガ雑誌を入手し、「2ちゃんねる」上で犯行予告までしていた。3人は調べに対して、「注目を浴びたかった」「優越感に浸りたかった」「自慢したかった」などと供述したという。
つまり、他人の著作物を、著作権者に無断で誰でもダウンロードできる状態にしたことが罪に問われている形で、今回のツイッターも、これに該当する可能性が高いと言えそうだ。
さらに、10年1月1日には、著作権法が改正され、著作権者の許諾を受けずにネット上に違法に配信された映像や音楽を、違法だと知りながらダウンロードすることも違法になる。利用者にはより一層の注意が求められることになりそうだ。