仏に製造委託、海上輸送で取り寄せにばく大なコスト
そもそも、核燃料サイクルの本来の目的は、使用済み燃料を再処理し、プルトニウムを高速増殖炉で再利用することだった。資源の少ない日本では資源の有効活用につながるとの大義名分もある。
しかし、肝心の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)は1995年のナトリウム漏れ事故で、いまだに停止したままだ。使用済み燃料の再処理についても、青森県六ケ所村の再処理工場の完成は遅れ、実現のめどは立っていない。実際、九電は玄海原発で使用するMOX燃料をフランスの原子力関連企業アレバ社に製造委託し、海上輸送で取り寄せており、ばく大なコストをかけている。
ただ、核兵器の材料にもなるプルトニウムを消費するという意味は少なくない。日本のプルトニウムの保有量は6月末で、原爆の約5000発分に 相当する28.2トンにも及ぶとされ、核保有の疑惑も招きかねないからだ。しかし、核テロの懸念も払しょくできておらず、難問は解決されないままだ。