人気アイドルグループ「AKB48」のメンバーの郵便物を盗んだとして、東京都新宿区の無職の男(25)が起訴された。手口は郵便局にメンバーと「同居することになった」などと虚偽の転居届を提出し、自宅に郵便物が届くようにした。転居に伴う郵便物の転送は、はがきに必要事項を記入したポストに入れるだけで、本人確認無く済むことが多く、その「盲点」が犯罪に使われた。
事件は09年5月、メンバーの1人が「郵便物が届かない」と埼玉県警に相談したことから発覚。取り調べたところ、容疑者は08年9月に新宿区内の郵便局にメンバーの転居届を提出していたことがわかった。転送願いは、ポストに投函されたらしい。確認されているだけでメンバー11人に関わる郵便物が押収されていると言う。県警はメンバーの一人から郵便物を盗んだとして8月31日に男を逮捕。9月17日には、別のメンバーの郵便物窃盗容疑で再逮捕していた。
単純に手元に置きたかったという犯行
警察関係者によると、男は熱烈な「AKB48」ファンで、「メンバーのものならば何でもいいから手に入れたかった」と供述している。押収したのは200点の郵便物だが、そのほとんどが電気、ガス、水道、電話などの公共料金の請求書だった。転売目的で窃盗を働いた様子ではなく、
「単純に手元に置きたかったという犯行。ただし、仮に転売をしようとしても、買う人が現れないだろう、というものばかり」
と警察関係者は説明している。また、メンバーの住所をどこで知ったのかについては現在調査中としている。
引っ越しによる郵便の転送願いは、ポストに投函すれば住民票や身分証明書は必要なく、意外と簡単に受理される。日本郵政によると、ポストに投函されたものについては、疑わしいもの以外は特に本人確認はしない。配達人が、引っ越したのかどうか、現場で外見から判断するという。