両社の判断に違いが際立つスーパースポーツカー
もっとも、トヨタのF1参戦は02年でホンダ(第3期)の1年遅れで ともに同じ8年間をF1に費やしたことになる。社内テストドライバーの最高位S2を持ち、レース参戦経験もある豊田社長は「モータースポーツを文化として育てたいと、チームはコスト削減にありとあらゆる手を尽くしてくれた」と振り返ったが「社長になり立場が変わった」と語り、「味わいのある車をつくりお客さまに1台1台を大事に届けて喜んでいただきたい」と顧客に直接届ける商品開発に注力する考えを強調した。隣ではF1チーム代表の山科忠専務が涙に暮れていた。
F1撤退時期以上に両社の判断に違いが際立ったのがスーパースポーツカーの商品化だ。ホンダはアキュラの頂点として進めていた「NSX」後継のV10エンジン車の開発を断念。小型車とハイブリッド車に集中することを宣言した。対してトヨタは東京モーターショーでV10・560PSのレクサス「LFA」を10年に世界限定500台で発売すると発表した。価格は3750万円。ホンダの近藤広一副社長が「トヨタさんもホンダもそう違った経営をするわけじゃない」というように、実は似た動きをとることも多いとはいえ、今後も随所で判断の違いが表れそうだ。