八王子のお寺に「メード喫茶」 ネットで話題「萌え寺」の挑戦

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   「お帰りなさいませ!了法寺へ☆」―東京八王子市にある日蓮宗、松栄山了法寺が、境内にオリジナルのメード喫茶をオープンする。2009年5月から境内の案内看板などに美少女のアニメ風「萌えキャラ」を採用、「萌え寺」などとも呼ばれるようになった。「萌え」の評判は上々で、今回はさらにチャレンジということらしい。

   この寺のルーツは、1253年(建長5年)、日蓮大聖人が鎌大光山本圀寺の隠居寺として創建した時点まで遡る、という。

   JR西八王子から徒歩10分程の場所にある檀家寺。普段の参拝客は少なく、お墓参りもお年寄りが時々来る程度。神も仏も無くなってしまったかのようなこの世の中に、法華経の教えで何か光を差すことができないものか。若い人が手を合わせ、悩みや辛さがなくなる。それには、ともかく寺の存在を知ってもらいたい、と住職の中里勝孝さん(45)は考えた。

「お帰りなさいませ了法寺へ☆」

   最初に変えたのはお寺の看板や案内板。業者には「若い人にアピールできて、小さなお子供さんにも見てもらいたい」と注文した。すると、案として上がってきたのがイラストレーターのとろ美さんが描いた「萌え絵」。「アキバ系」は知らなかったし、メード喫茶にも行ったことがなかったが、この絵のセンスとクオリティーの高さに衝撃を受けた。採用するかどうか迷った末、とろ美さんと会い、プロの姿勢に感銘して、看板にすることを決めた。

   看板が掲げられて間もなく、了法寺は「萌え寺」「萌え看板寺」などとネットで評判になる。参拝客も、今では若い人を中心に1日に20~30人訪れる。境内に飾られた絵馬には、アニメのキャラクターの絵が描かれたものが目に付くようになっている。

   その上、09年11月21日、22日の両日、境内に「メード喫茶」をオープンすることが決まった。店名は「お帰りなさいませ了法寺へ☆」。今年で30回目を迎える「八王子いちょう祭り」に参加する形で、境内に20~30の客席が置かれる。

「お寺はもともと開かれた場所で、楽しいところ」

   中里さんは

「かつて、お寺の参道にはお茶屋がありました。その現代版と考えています」

と説明する。若い人が多くお寺を訪ねてくるようになり、会話する機会が増えた。「萌え」が好きなだけで来ているわけでなく、悩みや苦労を抱えていて、神や仏に救われたいと思っている。それは昔も今も変わらない姿だった、と中里さんはいう。

「お寺はもともと開かれた場所で、楽しいところなんです。できるだけたくさんの方に来て頂きたい。そして、お参りしてお寺に悩みや辛いことを置いていってほしい。そんな手助けの入り口になればと思っているんです」
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