「介護報酬のなかで人件費割合を見直さないと根本的解決にならない」
そのいい例が09年4月に改定された介護報酬だ。03年と06年の改正で連続して下がり、09年に3%引き上げられた。国は1人あたりの賃金が月額2万円アップすると見込んでいたが、日本介護クラフトユニオンが会員に8月に行った調査によると、月額平均6475円のアップにとどまり、7割が「不満だ」と答えた。前出の陶山事務局長は、「事業所の多くが赤字の補填に使ってしまい、賃金には回らなかった」と話している。
また、10月にスタートした介護職員処遇改善交付金の支給についても、11月時点で申請が済んでいるのは全国の事業所の48%と、あまり広まっていない。正規職員で月額賃金が平均1万5000円アップすると厚生労働省はいっている。
交付金をもらうには、事業所が都道府県に申請する。手続きが複雑であることや事務職やケアマネージャーといった一部の職員は対象外で不公平になること、2年半後に給料を下げることになるという理由から、事業所側も手続きに積極的でない。
NCCUの陶山氏は、
「長期的に見ると、介護報酬のなかで人件費割合を見直さないと根本的な解決にはならないと思います」
と話している。