2007年に千葉県市川市で、英国人女性リンゼイ・アン・ホーカーさんの死体を遺棄した容疑で逮捕された市橋達也容疑者が09年11月12日、千葉県警行徳署から送検される際、署の周辺で整理に当たっていた警察官の職務を妨害したとして、TBS「みのもんたの朝ズバッ!」のディレクターが逮捕された。報道関係者が取材の際に公務執行妨害で逮捕されるのは極めて異例。
報道によると、男は同日11時半頃、市橋容疑者送検の様子を取材しようと、行徳署の門の近くにいた。市橋容疑者を乗せたワゴン車が門を出たとき、県警が張っていた規制ロープを超え、警察官の制止を振り切って車を追いかけたという。すぐさま数人の警察官に囲まれるも、男は警察官の手をふりほどいて車に接近。数十メートル走り、追いかけてきた警察官に取り押さえられた。
行徳署は事前に撮影スペース用意していた
行徳署の署員によれば、市橋容疑者が行徳署に入った11日から、詰めかけた報道陣や一般人のために、「守っていただければ」と思い、ロープを張って撮影できるスペースを用意、「署内から移送車が出る直近まで撮影できるようにしていた」。報道陣も地面にガムテープを貼って陣地取りをしていた。
だが、行徳署が報道陣のために用意したのにも関わらず、市橋容疑者がワゴン車の乗って送検される際、男はロープを超えて車を追いかけた。更に、運転席側の窓ガラスを叩いて車を止めようとし、公務執行妨害で現行犯逮捕されたという。
報道関係者が取材時に公務執行妨害で逮捕されるのは異例だ。行徳署の署員も
「そうですね。みなさん(ルールを)守ってますからね」
と話している。
「みのもんたの朝ズバッ!」は11月2日にも謝罪
TBS広報部によると、男はTBS情報制作局のディレクター。重大事件が起きた際に、幾つかの番組のメンバーから編成される取材チームの一員として行徳署に出向いていた。元々の所属は「みのもんたの朝ズバッ!」だという。
また、TBSの取材チームから、どの程度の人数が現場に居合わせていたかは把握しておらず、
「当社の社員が逮捕されたことは事実です。取材中に起きたことであり、事実関係を確認しているところです」
というコメントを出している。現段階では会見を開く予定はないという。男が所属していた「みのもんたの朝ズバッ!」は、08年2月の放送で割り箸が喉に刺さって男児が死亡した事故の民事訴訟を取り上げた際、「不公正な報道で重大な放送倫理違反がある」とBPOから勧告を受け、09年11月2日に番組内で謝罪している。
市橋容疑者の移送を巡っては、11月10日夜、新幹線で東京駅に到着した際にも報道陣が殺到。ホームが人で溢れかえった。数回、将棋倒しになるシーンも見られるなどし、報道陣に対して批判的な声も挙がっている。