「財務省が、知恵を渡しているんですよ」
この議論の結果、3事業のうち2つが「国の事業としての必要性は少ない」、残る一つが「(政府に残すか地方自治体に移すかの)両論併記」との結論が出た。
こう見ていくと、この「事業仕分け」は順調に進んでいるようにも見えるが、これに異を唱える声もある。例えば、「仕分け」の対象になった事業数の少なさだ。今回対象となった447事業は、政府の全事業の約15%に過ぎない。対象事業の選定は、実際の仕分け作業が始まる直前までずれこんでおり、「予算の内実を知っている財務省のお膳立てがあってこその『仕分け』対象選定だ」との声も根強い。
メディアの中からも、早速このような声はあがっており、例えばテレビ朝日コメンテーターの三反園訓さんは、朝のワイドショーの中で
「財務省が、『こうすれば削れますよ』って(民主党に)知恵を渡しているんですよ」
と、結局は民主党の政策は財務官僚の手に握られていることを指摘している。
さらに、前出のように「1日あたり500~700億の削減」だとしても、民主党政権の課題は、過去最大の95兆円までふくらんだ来年度予算の概算要求への対応。仙谷行政刷新会議担当大臣は、当初は3兆円以上を削減することを目標にしていた。「このペースでは、とても間に合わない」との見方もできる。
市ヶ谷の体育館では、ほとんど存在感を示さなかった財務官僚だが、「黒子」としては大活躍しているようだ。