内食ブームで調理具にこだわる主婦が増えている。プロ用の製品が並ぶ東京・浅草のかっぱ橋道具街では、家庭でも使えるサイズの鍋やフライパンが主婦に人気だ。お客が前年の1.5倍に増えたという店もある。
料理屋で使う器を売っている店では、うな重や寿司の器が売れている。スーパーで買ってきたうなぎや寿司を盛りつけて、「内食」で「外食気分」を味わうということらしい。
一般客は前年の1.5倍、売れ筋は鍋とフライパン
東京・浅草のかっぱ橋道具街にはプロ用調理器具を扱う店がおよそ170軒あり、鍋やフライパン、包丁、鉄板、陶器、漆器、食器、製菓器具といった調理器具を売っている。
ほとんどの店でプロでなくても購入できる。最近は内食ブームの影響で、幅広い年齢層の主婦が足を運んでくる。
業務用調理具全般を扱っている川崎商店のスタッフは、
「いままでは料理にかなりこだわっている主婦が買いに来ていましたが、最近は普通の人も来るようになりました。一般のお客さんは前年に比べて1.5倍に増えています」
と話す。
売れ筋は鍋とフライパンだ。一口に鍋といっても、素材はステンレス、鉄、アルミなどがあり、用途、大きさもさまざまだ。プロ用鍋にもIHクッキングヒーター用がある。鍋一式を買い替え、1回の買い物で3~4万円かける人もいる。冬に向けて蒸し器や、煮込み料理を作る圧力鍋も売れ筋だ。圧力鍋は容量3~20リットルまで揃えていて、価格は1万~5万円。主婦に売れているのは1万5000円~2万円のタイプだ。
プロ用というと高そうに見えるが、実はそうでもない。温め直すのに使う雪平鍋だと1000円台からあり、スーパーの同価格の鍋よりも長持ちする。
スーパーで買ったうなぎを漆の器に盛る
中華鍋など中華用調理道具も扱っている蝦夷屋では、家庭でも使い勝手のいい寸胴やフライパンが主婦に売れている。鉄製で国産が人気があるそうだ。
竹、木、漆などの素材でできた器を販売しているオクダ商店の奥田晃一社長は、
「うな重の器が売れています。お客さんに聞くと、スーパーで買ったうなぎを盛って、店で食べるようなうな重にするそうです。同じ理由で、寿司の器を買っていくお客さんも多いです」
と明かしている。
うな重の容器は木の器に漆を塗った本格的なものは数万円もするが、プラスチックに漆を塗ったものなら4000円くらいで買える。安いものは500円台から売っている。見た目がそれなりによければいいというお客が多く、売れ筋は1200円、1300円のもの。寿司の器は3人前で1300円、4人前で1580円がよく出る。
杉でできた弁当箱も人気がある。1個4000円以上するが、「お父さんにこれくらいの贅沢をさせたい」と買っていく主婦もいるそうだ。