アフィリエイトで稼ぐサイト作成などで高額の料金を支払わされたという相談が、全国の消費者生活センターに相次いでいる。給与カットで副業を探していて、被害に遭うケースが多いという。不況の影響がこんなところにも及んでいる形だ。
大阪府在住の20代の主婦は、家事の合間に副業をしたいと考え、ネット上で在宅ワークのサイトを見た。そして、資料を請求したところ、業者から電話があり、アフィリエイトのサイトで稼ぐことを勧められた。
サイト作成代約40万円取られる
アフィリエイトでは、自らのサイトやブログに広告を貼り付け、そのクリックや商品購入の数に応じて広告主から報酬が支払われる。
「個人で店を出そうとすればもっとお金がかかる。お金は必ず入ってくるし、収支がマイナスになることはない」
この主婦は、業者からこう説明され、それを信じて、サイト作成代約40万円を支払った。ところが、商品広告を掲載してみたものの、まったく収入にはならなかった。主婦は2009年3月、「解約したい」と消費生活センターに相談した。
アフィリエイトのほか、サイトで実際に商品を販売するドロップシッピングを巡って、ここ1年ほどで、各センターへのサイト作成の被害相談が急増している。国民生活センターが11月4日発表したまとめによると、08年度は相談が前年度より2倍に増えて379件に。さらに。09年度は9月末までで356件に達し、前年同期のなんと3.5倍にもなったというのだ。
急増の背景について、同センターの相談部では、不況による給与やボーナスのカットが大きく響いているのではないかと推測する。
「収入が減ったので、副業への関心が高まっています。ネット上で探してサイトの話を見つけ、それを副業にする人が増えたわけです。正確には分かりませんが、相談者の半数以上がこうした動機という印象を持っています」
前出の主婦が不況の影響をどれだけ受けたかは分からないが、夫の収入が減ってこうした副業に手を出すケースも見受けられるという。
収入、月1000円未満が7割
国民生活センターによると、副業として、アフィリエイトサイトなどを考えるのには、ネットなら本業があっても手軽にできるのでは、と思い込んでしまうことが大きい。ブログやアフィリエイト本などがポピュラーになったこともあり、ネットに詳しくない人でも、お金を稼げると錯覚を持つようだ。
被害の相談者は、それまでブログなどをやったことのない人がほとんどだという。不況で収入が減って、慣れないネットで副業探しを始めた弱みにつけ込んだわけだ。
業者がアフィリエイトなどによる利益を約束したり、リスクを説明しなかったりした場合は、特定商取引法に抵触する可能性がある。その場合、クーリングオフや契約取り消しを主張できるという。
アフィリエイトやドロップシッピングで個人が儲けるのは、なかなか難しいようだ。
アフィリエイトマーケティング協会が2007年に行った調査の結果によると、アフィリエイトによる1か月の収入は、1000円未満が7割も占めた。3万円以上は2.5%に留まっているに過ぎない。
アフィリエイトなどで稼ごうとすれば、商品のメルマガを出したり、サイトでブログを更新したり、検索エンジンに引っかかるようにしたりするなど、かなりの努力が必要だ。国民生活センターの相談部では、「ネット上では、サイトのことを知ってもらうのも大変です。サイト作成料などが高額の場合、アフィリエイトでどのような効果があるのか、業者によく説明してもらうことが必要でしょう」と話している。