治療施設が少なく、自己負担も多額
課題もある。まず、先進医療の設備がある病院が少ないこと。陽子線治療を行う病院は全国に5か所、重粒子線治療は2か所しかない。そのため、「遠くは沖縄から(筑波まで)治療にやって来る」(櫻井教授)という。
陽子線をつくるには複雑で巨大なシステムが必要で、この装置を含めた施設の建設費は約60億円、ランニングコストは年間3億円かかる。重粒子線の設備はその2倍にもなるというから、民間病院では採算のめどが立たず、なかなか設置がむずかしいのが実情だ。
ガン治療の場合でおよそ300万円の費用がかかるとされる、多額の自己負担も先進医療の利用拡大を妨げている。櫻井教授は、「小児ガンは他の臓器に影響を与えることなく、病巣だけを狙って治療できるため、陽子線治療が適しています。しかし実際にはお子さんが小さく、若いご夫婦が多いため、お金の工面がむずかしいようなのです」と訴える。
そうした中で、最近は先進医療の自己負担分(診察や検査、投薬、入院などの基礎部分を除いた部分)をカバーするタイプの医療保険が続々登場。アリコジャパンやオリックス生命保険、アメリカンファミリー生命保険、損保ジャパンひまわり生命保険などが加入者数を伸ばしている。
お金の心配が解決すれば、先進医療の利用はもっと増えるはずだ。