日本人女性(35)がマレーシアに覚せい剤を持ち込もうとし、同国の税関当局に拘束された。マレーシアは麻薬に厳しく、日本人女性が死刑になる可能性が高まっている。日本と比べると、刑の重さに雲泥の差がある。
クアラルンプール空港で2009年10月30日に拘束されたのは、元看護士の竹内真理子容疑者。覚せい剤4・7キロ・グラム、末端価格で約3200万円分を所持していた。スーツケースの底に隠して持ち込もうとし、危険薬物法違反の容疑で逮捕された。調べに対し、「荷物は預かったものだ」と供述。電話で日本にいる母親に「こんなことになってごめんなさい」涙を流し謝っていると報道されている。
中国で日本人4人が麻薬密輸で死刑求刑
竹内容疑者は、9月に2回、10月に3回とクアラルンプール国際空港を使用し、ドバイやマレーシアなどを行き来していた。大掛かりな麻薬密売ルートの運び屋なのではないか、として現地当局は調べているという。
日本は麻薬の所持や使用による罰が非常に軽いとされている。初犯だと執行猶予が付くのが普通だし、芸能人ならば、暫くすると仕事に復帰している。国によっては麻薬の所持や使用で死刑となる国もあり、それは外国人に対しても同じ。09年4月には中国で大連空港から日本に覚せい剤約2・5キロを密輸しようとした60代の男性の死刑が確定した。中国で麻薬に関わり死刑が確定した日本人は4人になった。
事件の舞台となったマレーシアも麻薬に厳しい。日本外務省によれば、ヘロイン・モルヒネ15g以上、マリファナ200g以上を所持した場合は死刑。外国人であっても、
「少しぐらいは大丈夫だろう、などという考えは絶対に通用しません」
と説明している。というのも麻薬密輸などの罪で英国人1人が1989年に絞首刑。90年には香港市民8人が死刑執行されたからだ。
麻薬と知らずに持っていた場合も罪は重い
麻薬と知らずに持っていた場合も罪は重く、外務省は
「面識のない人から小包等を預かって欲しいと依頼されても引き受けないように」
という注意を呼び掛けている。
外務省によれば、マレーシアで日本女性が薬物所持の容疑で身柄を拘束されたのは事実であり、
「現地の大使館が事実関係について調査中です。現地の当局は、時間をかけじっくり捜査する予定だと伝えてきていていまして、その行方を見守っている段階です」
と話している。拘束された女性については、現地の当局に衛生面や栄養に配慮してもらえるよう申し入れているという。