競馬の馬券をネット上で買うことは、すっかり一般的になったが、思わぬトラブルが発生した。「地方競馬の祭典」とも称されるレースで、人気のあまり取引システムにアクセスが殺到。ネット投票サービスを提供している会社は3社あるのだが、そのうち2社では接続しにくい状態が続き、競馬ファンからは「予想は当たっていたのに投票できなかった」などと、落胆や怒りの声があがっている。
トラブルが起こったのは、2009年11月3日に名古屋競馬場で行われた「JBCクラシック」「JBCスプリント」と呼ばれるレース。同レースは、「地方競馬の最大の祭典」としても知られている。
アクセス殺到して処理が大幅遅れ
「クラシック」では武豊騎手が騎乗する「ヴァーミリアン」が3連覇を、「スプリント」では、1番人気の「スーニ」が優勝を果たし、プレゼンターとしてイリュージョニストのプリンセス・テンコーさんも登場、レースに華を添えた。
ところが、華やかなレースの裏で、思わぬ問題が起きていた。JBCの馬券は、競馬場や場外発売所で直接購入したり、電話やインターネットで購入したりすることが可能なのだが、インターネットの購入システムにアクセスが殺到。つながりにくい状態になり、「馬券が買えなかった」といった声が続出したのだ。
JBCの馬券をネット上で販売しているのは、「楽天競馬」とソフトバンク系の「オッズパーク」、「SPAT4」の3つのサービス。このうち「楽天競馬」と「オッズパーク」が、午前10時の発売直後からつながりにくい状態になった。「楽天競馬」では、レース後に説明文を掲載し、
「発売開始直後より発生しておりました、入金・精算処理の遅延ですが、データベースの負荷軽減の為に一度、入金処理を停止しておりました。受付済みの入金処理の処理状況をみつつ、データベースの負荷軽減策を検討し、入金・精算処理停止中にメンテナンスを実施しました」
などと説明。アクセスが殺到して処理が大幅に遅れ、この状態を解消するために、馬券の販売を一時的に停止していたことを明らかにしている。
アクセス増加予想をウェブサイト上で告知
ただし、楽天競馬では、JBC期間中は「購入金額の15.5%の楽天スーパーポイントを還元」というキャンペーンを行っており、これがアクセス増加につながった可能性もありそうだ。
一方のオッズパークでは、
「ただいま、アクセスが集中していてご迷惑をお掛けしております。恐れ入りますが、D-net投票、もしくはARS投票をご利用頂きますようお願い申し上げます」
との画面が表示され、電話投票や、予備のウェブサイトを使って購入するように呼びかけた。
ただし、オッズパークが楽天と対照的なのが、レース前日の11月2日の段階で、アクセス増加が予想されることをウェブサイト上で告知していたことだ。さらに、告知の中では、アクセス集中によるシステムへの負荷を下げるために、(1)出馬表や競走成績へのリンクを切る(2)騎手・調教師の検索機能を停止する(3)「マイページ」への利用を停止する、といった対策を講じることをうたっている。それでも、アクセス殺到による影響は避けられなかった様子だ。
両サイトの機能低下は決して初めてではないようで、JBCを話題にしたブログでは、「そろそろ改善してもらいたい」との声もあがっている。