鳩山内閣に少々逆風が吹いている。2009年11月1日に、共同通信が発表した全国電話世論調査結果では、鳩山内閣の支持率は9月中旬から10ポイントも下落して62%だった。元大蔵官僚を社長ポストに据えた郵政人事や政治資金収支報告書の虚偽記載問題が響いているようだ。更に1日から2日にかけては、民主党衆院議員の辻恵氏が弁護士業務で預けられた約5億円の供託金を返還していないとして訴えられていたことや、鳩山首相が株の売却などで得た約7200万円の税務申告漏れが報道されるなどマイナスイメージの「事件」が相次いでいる。
9月中旬、鳩山内閣の発足直後の同社調査による支持率は72%で順風満帆だった。当時の記事では「『脱官僚内閣』を掲げる鳩山由紀夫首相の姿勢が世論の高い支持につながり、新内閣は順調なスタートを切った形だ」とされている。
郵政人事、天下り禁止と「矛盾する」が過半数
だが、10月31日~11月1日にかけて行った調査では支持率61.8%と10ポイント以上下がった。米軍普天間飛行場移設が難航しているほか、経済・財政面への不安などが大きく影響したと見られている。
郵政人事もマイナスだ。民主党は「脱官僚」を掲げ、マニフェストにも「天下り全面禁止」と記していた。そんな中、日本郵政の西川義文社長の後任に据えられたのは、元大蔵相事務次官の斎藤次郎氏だった。この人事を「評価しない」が49%だったのに対し、「評価する」は27%だけ。61%が天下り禁止方針と「矛盾する」としている。
鳩山首相の政治資金収支報告書の虚偽記載に関しても、首相の説明に「納得できる」が22%だったのに対し、「納得できない」が68%と、厳しい目が向けられている。
確かに、鳩山首相の説明は不十分だ。10月26日に「わたしは一部始終を存じているわけではない。捜査に協力して、全容が解明されることを期待したい」とした上で、「秘書がなぜこういうことを行ったのか、本心が見えていない」。11月2日の衆議院予算委員会でも「国民に迷惑を掛けたことを改めておわびする」と謝罪したものの、「会計担当者をはじめ事務所の人たちとの十分なコミュニケーションを怠っていた」としている。あくまで、自分の知らないところで秘書が勝手にやったという見方だ。