携帯電話やパソコンを小型のモバイル型燃料電池で動かす時代が現実のものになりつつある。小型燃料電池を国内で初めて発売するという発表が2009年10月22日、国内メーカーから相次いだ。
携帯電話の電源が切れたら、水素を発生するカートリッジをコンビニで買って小型燃料電池に差し込み、その場で充電するといった時代が、もうすぐやってくるかもしれない。
GSユアサ陣営は2010年夏の量産を狙う
大手電池メーカーのジーエス(GS)ユアサグループと燃料電池開発のベンチャー企業、アクアフェアリー(京都市)は同日、携帯電話を充電したり、屋外でネットブックパソコンを動かしたりする電力を供給する発電機として使える小型燃料電池を、2010年夏をめどに市販すると発表。これに対抗するように、東芝も同日、携帯電話や携帯音楽プレーヤーなどの充電に使える小型燃料電池を10月29日から限定発売すると発表した。
奇しくも同じ日に、国内第1号となる小型燃料電池の市販が発表されたわけで、市場投入で先陣を争うメーカー間の競争の激しさを物語っている。両陣営の小型燃料電池は携帯電話の充電に使えるなど似ているが、GSユアサ陣営がベンチャー企業と組んで2010年夏の量産を狙っているのに対して、東芝はインターネットを通じた限定3000台の販売となっており、今回は市場反応を見る試験的な色彩が強いようだ。
小型燃料電池はコンセントがない屋外などで、携帯電話やパソコンの電源が切れそうになった時に充電できるメリットがある。両陣営の小型燃料電池を比較すると、東芝がメタノールから水素を取り出して酸素と反応させて発電し、モバイル機器の充電に使うことを想定しているのに対して、GSユアサ陣営は業界では主流とされるメタノールを使わず、特殊な金属の化学反応を応用した水素発生剤を使う点が特徴だという。