プロ野球「中日ドラゴンズ」の吉見一起投手が利用していた「ニンニク注射」。ビタミンB1、B6などを含む成分が疲労回復を促すことから、女性を中心とした会社員らの間でも人気になっている。いったい、どんなものなのか。
「ニンニク注射」がクローズアップされた発端は、中日新聞の2009年10月22日コラム記事で、中日・吉見投手がこれを利用している旨が書かれたことによる。これを受けて、ドーピング規定の違反ではないのか、といった疑惑が出たのも波紋を呼んだ。報道によれば、日本プロ野球機構(NPB)では、「医学的に正当な適応による治療行為」以外での「静脈内注入」を禁止しており、これに該当するのではというのだ。もっとも24日、注射は正当な医療行為であり、違反ではないことが発表された。
山本モナさんも風邪の悪化防止に利用
さて、その「ニンニク注射」とはいったい、どんなものなのか。「ニンニク注射」とは通称で、主成分にはビタミンB1、B6といった「ニンニク」に多いビタミンB郡を含んでいるので、こう呼ばれている。これらの成分が代謝を促し、疲労物質である「乳酸」の分解を進める。血管内に注射するのは、口からの摂取と比べて素早く作用させることができるためだ。また、ニンニク臭があるわけでもなく、副作用もない。
この注射が最初に話題になったのは2000年頃。アスリートらが愛用したのがきっかけだった。その後は芸能人も使い始めた。2003年末にあった「紅白歌合戦」の最中にも、歌手の何人かがこれを摂取していたこともあった。最近では、山本モナさんが2009年5月のブログで、風邪らしい症状が出たとき、「これ以上ひどくなると大変だから、ニンニク注射をブスっと打ってきたよ」と書いている。
今では一般の人にも利用が広がっている。専門医「聖心美容外科」の統括院長・鎌倉達郎さんによれば、同クリニックでも2006年から取り入れており、1日3~4人(東京院)が訪れている。美容外科ということもあって、利用者の7割は女性。会社員がほとんどだそうだ。注射では、注射容器2本分の液体を10分かけてゆっくりと注入していく。そのため、平日仕事の合間や会社帰りに立ち寄る人もいる。
ちなみに、全国の美容整形外科などで利用が可能。店によっては有効成分のブレンドに違いがあって、値段は2000円~4000円が相場のようだ。