連続殺人の疑いが持ち上がっている東京都豊島区の無職の女(34)は、ネットを利用して次々に犯罪に手を染めていた。6年前はネットオークションで、そして今回は出会い系サイトで。ネット上では、危険人物視されていたことも浮かび上がっている。
事件は、ネット上の「婚活」ブームに冷や水を浴びせるような異常な展開をみせている。
不審死男性のブログに、お悔やみ1000件も
埼玉県内で2009年8月に不審な死を遂げた東京・千代田区の会社員男性(41)は、女と出会い系サイトで08年夏に知り合った。報道によると、男性は母親に「いい人ができた」などと打ち明け、結婚資金として女に500万円を渡していた。また、亡くなる前日には、自らのブログで婚活報告までしていた。
「実は41歳のトマちゃんは婚活中でしてwつか今日相手のご家族と会うのです。ここ最近ずっと相手と新居を探したり新生活のことを話し合ってるんです。今夜から2泊3日で相手と婚前旅行に行きます」
ところが、そのわずか20時間後、車の中から変死体で見つかる。練炭が焚かれ自殺を装っていたが、埼玉県警では、体内から睡眠導入剤が検出されるなどしたことから、殺人事件の疑いがあるとみている。
そして、直前まで一緒にいた女が、事件前にネットで練炭を大量に購入していたことなどが判明。県警が死亡との関連を捜査しているというのだ。
亡くなった男性は、プラモデルのマニアとして知られ、最後のブログ日記では、結婚後しばらくしてプラモを再開したいと写真付きでつづっている。その思いはかなわなかったわけで、ブログには、お悔やみのコメントが殺到し、すでに1000以上に達している。
自宅の火災で5月に亡くなった千葉・野田市の男性(80)も、女とネット上で知り合った。女はヘルパーとして出入りしていたという。こちらも練炭が焚かれ、女が火災当日に男性のキャッシュカードから180万円を引き出しており、県警が関連を調べている。
ネット上では、一部で危険人物視
報道によると、女の周囲ではほかに、東京・青梅市の男性(53)、千葉・松戸市の男性(70)や、関東在住の男性2人も不審な死が報告されている。いずれも出会い系サイトなどを通じて女と知り合ったといい、なんと6人もの連続不審死がある。そして、松戸市の男性から7400万円も受け取るなど、女が知り合った男性たちから得た額は、計1億円以上にもなるというのだ。
この女は、ネット上でこれまで、数多くの犯罪を重ねている。
2003年3月には、ネットオークションでパソコンを売るとウソをついて、10万円をだまし取ったとして警視庁に逮捕されている。9件120万円の余罪があったとされ、懲役2年6月、執行猶予5年の有罪判決が確定している。
ところが、これに懲りず、ネットで知り合った前出とは違う男性2人に結婚の約束をし、大学院の学費や生活費が必要とウソをついて、計320万円をだまし取った疑いで埼玉県警に09年9月逮捕された。さらに、別の男性2人への計210万円の詐欺未遂の疑いでも再逮捕されたのだ。
ネット上では、女は一部で危険人物視されていたらしい。グルメ系のオフ会にも顔を出していたといい、2ちゃんねるには、悪評が書き込まれていた。10月28日発売の東京スポーツによると、オフ会で出会った男性に、「ビル持ち男性と出会ってお金をもらった」などと自慢をしていたという。
女は、当初はピアノ講師、後にフードコーディネーターと称していたが、定職があった証拠は出ていない。それにもかかわらず、月額21万9000円のマンションに住み、ベンツを乗り回し、3か月で70万円もかかるというフランス料理専門学校に通うなど、セレブな生活をしていた。そのせいか、最近は100キロ近くに体重が増えていたようだ。
そこで、料理専門学校に取材したが、「いろんな報道機関から同種のお問い合わせを昨日からいただいていますが、在籍していたかを含め、生徒の個人情報は、外に開示していません」(広報担当者)とのことだった。