日本郵政の新社長に元大蔵事務次官の斎藤次郎氏が就任した。日本郵政本社で2009年10月28日に開かれた会見で、斎藤社長は新しい経営陣を発表して経営方針を説明するとともに「情報公開を徹底したい」と述べ、記者クラブ以外にも開かれた会見・広報を実施していく考えを明らかにした。
日本郵政では28日午前、取締役会が開催され、社長だった西川善文氏ら7人の取締役が退任した。その後の臨時株主総会で、斎藤新社長を始めとする新しい取締役16人を選任。留任した奥田碩氏(トヨタ自動車相談役)と西岡喬氏(三菱重工業相談役)を含め18人の大所帯で構成された取締役会が発足した。
「行政経験をもった方々の参画は必須」
常勤の取締役は、斎藤社長の下に4人の副社長がつく体制。そのうちの2人は、前内閣官房副長官補の坂篤郎氏と元郵政事業庁長官の足立盛二郎氏という官僚OBだ。政府関係者によると、「信頼できる人がほしい」という斎藤社長の要望で決まった人事という。
官僚OBを起用した理由について、斎藤社長は会見で
「郵政事業は公益性の高い事業で、閣議決定でも、郵政を行政の拠点として活用すると明記している。行政とのつながりが今後の大きなテーマとなるなかで、行政経験をもった方々の参画は必須だと思う」
と説明。「天下り・渡り」批判に対しては
「天下りのイメージは、公務員として一定のポジションをもった人が、政府系の団体に行ってのうのうと高給を食んでいるというもの。2人は極めて困難な課題に取り組むのだから、天下りの弊害は全くない」
と反論した。