シンガポールから医薬品発送 ケンコーコム「個人輸入」推進

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

法に触れないが、問題はあるという意見も

   一方、個人輸入にはリスクもある。国内の病院や薬局で購入した薬を服用して副作用が出た場合、国から医療費を給付されるが、個人輸入は救済制度の対象にならない。送料の問題もある。「ケンコーコム」では1回の合計額が3990円以上の場合は無料、それ以外の場合は全国一律490円としているが、「ケンコーコムシンガポール」で購入して日本に発送すると、1回の買い物合計額が8000円以上の場合は無料、それ以外は一律650円かかる。さらに商品代金と送料の合計が1万6500円を超える場合は、別途関税がかかる。また、ケンコーコムでは返品できるが、ケンコーコムシンガポールでは受け付けない。購入はいわば、自己責任ということになる。

   改正薬事法が09年6月1日に施行され、医薬品はリスクの高い順に第1類、第2類、第3類に分けられた。胃腸薬の第1類、風邪薬や頭痛薬の第2類医薬品は対面販売に限定され、通販できるのはビタミン剤やうがい薬の第3類だけだ。

   ヤフーや楽天などの通販業者や、通販需要のある伝承薬メーカーは「商売が成り立たない」と反発している。医薬品のネット販売を主力とするケンコーコムは、改正薬事法が施行された6月の医薬品の売上げが前月比62%減の3766万6000円となり、深刻な状況が続いている。シンガポールでの子会社の設立は苦肉の策だったとも言えそうだ。

   ところでケンコーコムシンガポールのやり方は、問題ないのだろうか。医薬品の個人輸入を管轄している厚生労働省医薬食品局監視指導麻薬対策課の担当者は、

「個人輸入は薬事法の規制対象外で、輸入者の責任の下で行うことになっています」

   といっている。

   法に触れないが、問題はあるという意見もある。医薬品の通販を規制している同局総務課の担当者は、

「副作用の救済対象にならない個人輸入は適切ではないという認識で、以前から利用者に注意喚起をしています。それを助長させるものについては諸手を挙げて(賛成)というわけにはいかない」

   と話している。

1 2
姉妹サイト