日本興亜が保険金支払い遅れ 内紛による内部告発との憶測も

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   管理体制が不十分で保険金の支払いが遅れたとして、日本興亜損害保険が金融庁の業務改善命令を受けた。日本興亜では兵頭誠社長と松沢建・前会長が対立、松沢氏側が兵頭社長の解任要求を突きつけるまでに泥沼化しているが、今回の支払い遅れも、内紛を背景とする内部告発が発端との見方がある。

   損害保険ジャパンとの2010年春の経営統合を目指す日本興亜は、09年12月の臨時株主総会で、統合の是非を株主に問う予定だが、内紛に加え、支払い遅れで現経営陣の責任問題が浮上し、株主総会は波乱含みの展開となりそうだ。

松沢建・前会長は損保ジャパン統合に反対

   金融庁は10月23日、日本興亜が2008年度中に保険金を支払えるはずだった自動車保険のうち、42件7億1500万円の支払いが年度明けにずれ込んだとして、業務改善命令を出した。契約者と積極的に連絡を取っていなかったり、従業員の怠慢で手続きが遅れたりしたことなどが原因だ。金融庁は「支払いに必要な調査や、そのタイミングをまとめたマニュアルがないなど、経営管理体制上の問題が認められた」と判断した。

   処分を受けて日本興亜は磯谷隆也・執行役員らが会見。磯谷氏は「担当者の放置を積極的に発見するなどの仕組みがなかった」と社内体制の不備を認めた上で、改善策の実施や兵頭社長ら経営陣の処分に踏み切る方針を明らかにした。

   通常なら、役員処分と改善策で一定の「みそぎ」を済ませることも可能だが、事態を複雑にするのが同社の内紛だ。処分に先立つ21日、松沢氏らは日本興亜に対し、12月の株主総会で損保ジャパンとの統合案件が否決された場合、兵頭社長らの解任を議題に取り上げるよう請求。松沢氏は「財務が悪化している損保ジャパンと統合すれば、日本興亜の資産を毀損するだけだ」と統合に反対しており、株主総会でも追及する構えだ。

他の損保会社はとばっちりを懸念する

   そこに今回の支払い遅れが加わり、兵頭社長の経営責任を問う声が強まれば、統合問題にも影響を与えかねない。そもそも今回の支払い遅れは、松沢氏に近い日本興亜関係者が、兵頭社長に揺さぶりをかけようと内部告発した、との見方もある。日本興亜の筆頭株主である米投資会社サウスイースタン・アセット・マネジメントは統合への賛否を表明していないが、兵頭社長の手腕には不満だとされる。

   一方、日本興亜の内紛のとばっちりを受けないか懸念しているのが、他の損保会社だ。他社でも一部従業員の怠慢で、保険金の支払い遅れが生じていた可能性も否定できないからだ。今回の処分が内紛と相まって注目を集めたことで、金融庁が支払い遅延の調査を本格化させる可能性もある。損保業界はようやく保険金の不払い問題が落ち着いた段階だが、「日本興亜の内紛のせいで、新たな処分リスクが加わる可能性は否定できない」(大手幹部)との恨み節も出ている。

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