ネットユーザーの疑問に大臣はどう答えるか? 記者クラブ以外のメディアにも開放された外務省の大臣会見で、インターネットで募集したユーザーの質問を会見場にいるスタッフが「代読」するという試みが実施された。大臣はきちんと問いに答え、ネット上ではユーザーたちの「歓声」があがった。
外務省で2009年10月27日に開催された岡田克也外相の定例会見。約50分間に及んだ質疑応答の最後のほうで、インターネットの動画サイト「ニコニコ動画」のスタッフが、ユーザーの質問を大臣にぶつけた。テーマは「テレビとネットの違い」についてだった。
「テレビとネットの大きな違いは?」と質問
「大臣は野党時代の早くから自らのサイトで動画配信をしてきたということですが、ニュースの報道という点において、テレビとネットの大きな違いはどういったものだとお考えになりますか?」
この質問に対して、岡田外相は笑顔で答えた。
「私自身が配信してきたのは、私の主張を多くの方に知っていただくため。媒体を通すと、私自身の本意とは違う伝えられ方をすることがありますけど、(ネットの)映像ですと、それがそのままということになりますから、そういう意味でありがたい。政治家にとっては、自分の考え方をより広く発信するための非常にいい手段だと思っています」
さらに続けて、ニコニコ動画のスタッフが「大臣自身はインターネットをどのように使っていますか」とたずねると、岡田外相は
「自分のホームページをみるぐらいです。時間もありませんので」
と苦笑しながら返答した。
ネットユーザーのために会見場にマイクを設置
質問は、ニコニコ動画のサイトで前日から募集。ユーザーから寄せられた問いの中から、「過去の質問と重複していない」といった基準で3つの質問に絞り、会見開始10分前にニコニコ動画上でアンケートを実施した。その結果、最も支持が多かったのが「テレビとネットの違い」についての質問だった。
ニコニコ動画のスタッフが質問を代読する様子はもちろん、ネットで生中継された。同サイトの中継画面は、
「きたーーー」
「おおおおおお」
「いいねー」
といった「歓声」のコメントでいっぱいになった。岡田外相の回答についても「真面目に答えてくれてる」と肯定的に評価する声が多い。ニコニコ動画の現場スタッフも「ユーザーの反応がすごかった」と興奮気味に話していた。
実は、岡田外相の記者会見では10月16日から、記者が質問するときにもマイクを使うようになった。インターネット中継で見ているネットユーザーに、記者の質問内容がしっかり聞こえるように、との配慮からだ。「自分ではインターネットはあまり使わない」という岡田外相だが、ネットを使った情報発信については非常に意欲的といえる。
既存のマスメディア以外に向けた情報発信に積極的な大臣としては、もう一人、亀井静香郵政・金融担当相がいる。ニコニコ動画は、その会見でも今回と同様に「ユーザーの質問の代読」を試みる予定だ。