覚せい剤取締法違反の罪で起訴された酒井法子被告(38)の初公判を前に、傍聴券を引き替えるための整理券の配布が2009年10月26日朝、東京地方裁判所近くの日比谷公園で始まった。報道関係以外の一般向けに開放される傍聴席は、わずか20席。当初は「1万人規模での争奪戦になるのでは」との観測もあったが、雨天だと言うこともあって、出足は非常に低調。配布が始まった時点で並んでいたのは、わずか300人強。思わぬ「低倍率」になる可能性も出てきた。
通常、公判を傍聴するための整理券の配布は東京地裁の敷地内で行われるが、酒井被告の初公判では、近くの日比谷公園で行われることになった。同公園の利用は04年2月の松本智津夫死刑囚(54)=教祖名・麻原彰晃=の地裁判決公判以来。「麻原裁判」の初公判(1996年4月)では1万2292人の傍聴希望者が集まり、今回の酒井被告の公判も、同規模の傍聴希望者が押し寄せるものとみられていた。
雨に寒さ、悪天候が影響か
ところが、10月26日朝の都内の天気は雨で、気温は16~17度。悪天候に、傍聴希望者の足は大きく遠のいた様子だ。
整理券の配布は9時からスタートする予定で、地裁ウェブサイト上では「公園内霞門入口(東京メトロ霞ヶ関駅B2出口付近)から並んでください」との注意書きがされていた。ところが、配布1時間前の8時の段階では、霞門からは列を確認することができず、数十メートルおきに並んでいる係員が「傍聴希望者はこちらの道を進んで下さい」と案内している程度。公園内を数分間歩いて、やっと列を確認することができた。列は5列あり、8時15分の段階では、1列あたりに並んでいるのは40人強。全体で200人強といったところだ。
行列に最初に並んだのは、板橋区在住のフリーター男性(39)。前日の23時から並んでいたといい、
「同じ年で同じ学年だった人がクスリをやっていたとのことなので、ショックです。公判では、罪を認めるかどうかをしっかり見ていきたいです。並ぶ時、おにぎりを4つ買っていったのですが、優しい記者さんがおにぎり1~2個と、防寒対策に使い捨てカイロを1つくれました」
と話していた。
リストバンド状の整理券を手首に巻き付ける
8時半を過ぎて雨脚が強まる中、整理券を配るテント前では、TBSの「朝ズバッ!」や日本テレビの「スッキリ!!」などのレポーターが、傘を片手に生中継。それ以外の社も、並んでいる傍聴希望者にインタビューを行っていた。
実際に整理券の配布が始まったのは、予定よりも15分早い8時45分ごろ。この時点で1列に並んでいたのが63人なので、5列で300人強。テントの中で、係員が次々と番号が書かれたリストバンド状の整理券を、傍聴希望者の手首に巻き付けていった。整理券には 「はずした状態では当選番号であっても無効になります」との注意書きがあり、傍聴希望者は見慣れない整理券に見入っていた。
現場では、係員が
「リストバンドを受け取った人は、桜田門、乾門の方から、一旦外に出て下さい!」
「報道の方、邪魔なので道を空けてくださーい!」
などと呼びかけていたものの、大きな混乱はなく配布は進んでいる。配布開始から15分がたった9時過ぎには、当初の列はなくなってしまい、現段階では「希望者が三々五々集まり、並ばずに整理券がもらえる」という状態だ。
整理券の配布は11時まで行われ、当選番号の発表は11時30分に、公園内の2か所の掲示板で行われる。初公判は13時半から。