「いつまで斎藤を使っているんだ。あんな悪いやつ、なんでやめさせないんだ!」。日本郵政の次期社長に内定した斎藤次郎氏(元大蔵事務次官)について、亀井静香郵政・金融担当相はかつてこんな批判をしていた――。1990年代の村山内閣で大蔵相を務めた武村正義元官房長官が、「裏話」をテレビで暴露した。
武村氏は2009年10月25日朝にTBSで放送された番組「時事放談」に出演した。亀井氏が21日の会見で「斎藤さんは極めて有能。人格的にも信頼できる」と述べたことについて、「非常に違和感を感じた」と発言。大蔵相を務めていたときに、当時運輸相だった亀井氏から聞いた言葉を紹介した。
「武村さん、いつまで斎藤を使っているんだ」
「閣議が終わったあとの閣僚懇談会で、僕は2回か3回、亀井さんに厳しく『武村さん、いつまで斎藤を使っているんだ。あんな悪いやつ、なんでやめさせないんだ!』ということをガンガン言われたことを思い出しました」
武村氏と亀井氏は1994年から95年にかけて、村山内閣(自社さ連立政権)の閣僚として一緒に仕事をしている。当時、斎藤氏は大蔵事務次官だったが、野党に下っていた小沢一郎氏と親しい関係にあったことから、連立政権の一角を担う自民党から敵視されていた。
自民党から入閣した亀井氏の武村氏への働きかけはそのような政治状況を反映したものともいえるが、武村氏は、約15年前の亀井氏の言動と今回の発言が矛盾していると指摘した。
「この間の『すばらしい人間をみてきた』という亀井さんの発言と全然平仄(ひょうそく)が合っていないぞと。テレビの前で亀井さん、悪いけど、そう思ったよ」
その後、亀井氏と斎藤氏との関係は変化したのかもしれないが、少なくとも15年前はいい関係でなかったようだ。