「奥田さんを自らの陣営に取り込もうという政治的思惑」
亀井担当相はこれまで日本郵政経営陣の「全面刷新」を強調してきたが、郵政をめぐる一連の混乱から民間企業には引き受け手が少ないと見られている。
しかし斎藤氏のような官僚OBで固めれば、「脱官僚という民主党の公約に反する」という批判が強まるのは明白だ。亀井担当相の軌道修正はこれらの批判をかわす狙いもあると考えられる。
金融業界に詳しいジャーナリストの須田慎一郎さんは
「西川さんを除く取締役のなかでキーパーソンといえば、元経団連会長の奥田さん。彼まで追い出せば財界を敵に回すことになり、日本郵政の経営が立ち行かなくなる怖れがあったので、その協力を取り付ける必要があったということだろう。また、小泉・竹中路線をバックアップしてきた奥田さんを自らの陣営に取り込もうという政治的思惑も働いているはずだ」
と分析する。現経営陣の今後の動きについては、
「竹中さんに最も近い位置にいた奥谷禮子さん(ザ・アール社長)は辞任する可能性が高いが、牛尾治朗さん(ウシオ電機会長)や丹羽宇一郎さん(伊藤忠商事会長)といった他の取締役は機を見るに敏な人たちなので、軌道修正して生き長らえるのではないか」
と推測している。
ただ、郵政民営化という基本路線では亀井氏と現役員はもともと180度考え方が違う。それを押し殺してまで残ることはないのでは、という見方もあり、「反乱」が起きる可能性を完全には否定できない。