新社長は小沢氏のブレーン 日本郵政の人事発表

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   日本郵政の新社長が2009年10月21日、発表された。亀井静香郵政・金融担当相の口から飛び出した名前は、元大蔵省(現財務省)事務次官の斎藤次郎・東京金融取引所社長(73)。小沢一郎・民主党幹事長の盟友として知られた、かつての大物官僚が再び表舞台に踊り出た。

日本郵政の新社長を発表する亀井静香郵政・金融担当相
日本郵政の新社長を発表する亀井静香郵政・金融担当相
「郵政事業の抜本的見直しについて同じ意見をもち、人格的にも信頼できる。極めて有能で、私と長い付き合いのある友人」

   亀井担当相は金融庁大臣室で開いた緊急会見で、斎藤氏を新社長に抜擢した理由についてそう語った。斎藤氏とは選挙前から、郵政民営化見直しについて話をしてきたとのことで、「昨日今日で急にパッと思いついたわけではない」という。

   正式に就任要請したのは10月20日の夜。同日の夕方に西川善文社長の辞任表明があったのを受け、亀井担当相が斎藤氏に電話し、

「西川さんがひかれたので、そのあとをやってくれませんか?」

と依頼すると、斎藤氏は

「考えさせてください」

と答えたという。そして、翌21日の朝、斎藤氏から

「引き受けます」

との返事があった。鳩山由紀夫首相や連立与党の幹事長にも連絡。緊急の記者発表となった。

「小沢さんには今朝初めて伝えた」と亀井氏は語ったが・・・

   斎藤氏は大蔵事務次官まで勤め上げた大物「過去官僚」で、民主党の小沢幹事長が自民党の幹事長だった1990年代から緊密な関係にあったことが知られている。小沢氏のブレーンともいえる人物の起用に、報道陣からは

「斎藤次郎さんといえば小沢さんと非常に親しい関係で知られていますが、今回の人事について、事前に小沢さんと相談したり、小沢さんの意向をくんだりという経緯はあったのでしょうか」

という質問が出た。亀井担当相は

「あんた、推理作家かね?」

と言いながら、

「小沢さんには今朝初めて伝えた。根回しは一切していない」

と小沢幹事長の関与を否定した。

   しかし、質問したジャーナリストの岩上安身さんは会見後、

「根回しをしていないと言っても、全然信じられませんね」

と笑いながら、次のように語った。

「亀井さんが『推理作家かね?』と言ったのは、一呼吸置きたかったからで、抵抗感のある質問だったのだろう。『亀井は小沢の軍門に下った』と思われるのはシャクだから。しかし、小沢さんと斎藤さんの関係については否定しなかった。斎藤さんが亀井さんの友人でもあるというのはその通りだろうが、彼は小沢さんの重要なブレーンであり続けた人だ。
   日本郵政の新社長になるのは非常な難事業で、新政権から強いバックアップを受けられる人物でないといけない。その意味では、斎藤さんの起用というのは驚きのある一方で、納得感のある人事ともいえる。亀井さんは根回しをしていないと言ったが、逆に、相当に準備をしてきたなと感じた」
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