イルカ漁の町で「水銀検査」 米「隠し撮り映画」がきっかけ?

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   400年以上のクジラ漁の歴史を持つ和歌山県太地町を舞台にした海外のドキュメンタリー映画が、波紋を広げている。同町で行われたイルカ漁を、米国の動物愛護活動家らか隠し撮りしたもので、漁の残酷さを強調する内容だ。国内で行われる映画祭での上映を前にして、海外通信社は「住民に対して水銀中毒の検査を行っている」などと大々的に報じ、映画を「援護射撃」している形だ。一方、町側は「単なる健康調査の一環」と反発している。

   映画のタイトルは「ザ・コーブ」(入り江)。太地町で古くから続くイルカ漁の様子を追ったもので、立ち入り禁止の浜でイルカが赤い血をあげながら殺される様子などを隠し撮りしたもの。地元漁師が撮影を「妨害」する様子なども描かれている。

ルイ・シホヨス監督がこの動きを歓迎

「ザ・コーブ」は、東京国際映画祭でも上映予定だ
「ザ・コーブ」は、東京国際映画祭でも上映予定だ

   映画は2009年夏に米国やオーストラリアで公開され、「イルカ漁が残酷なことが分かった」などといった受け止めが大半だ。09年8月には、姉妹都市のオーストラリア北西部のブルーム市の議会が、映画をきっかけにイルカ漁に抗議して姉妹都市提携の停止を決議していたが、10月13日には一転、提携を継続することを決めたという経緯もある。

   映画では、イルカ肉に含まれる水銀濃度の高さについても問題視している。この論点を「援護射撃」する形になったのが、米AP通信が09年10月17日(日本時間)に配信した記事だ。記事では、太地町が「定期的にイルカやクジラの肉を食べていることが原因で発生する可能性がある水銀中毒について、住民に対して検査を行っていることを明らかにした」などと報じたのだ。記事では、映画のルイ・シホヨス監督が、この動きを歓迎した上で、

「残念ながら、現段階で人間がイルカの命を救う唯一の方法は、イルカが食べられなくなるぐらいに、人間が環境を汚染してしまったことを証明することだ」

とコメント。イルカ漁に反対する立場を改めて繰り返した。

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