業績不振が続く消費者金融大手アイフルは、私的整理の一種「事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)」と呼ばれる手法での再建手続きに入った。2009年10月8日には第1回債権者会議を開き、従業員をほぼ半減するなどの再建計画を説明したが、再建に不可欠な金融機関の協力姿勢には濃淡がある。金融機関の足並みが乱れれば、再建に大きな影を落としそうだ。
アイフルは債権者会議で、有人店舗を3分の1に減らした上で、従業員をほぼ半減するなどのリストラ案を提示。債務約2800億円のうち、3分の1近くを借り換えすることで、当面の返済を猶予するよう金融機関に要請した模様だ。アイフルは、債権者の理解を得られれば、年末までに再建計画をまとめる方針だ。
あおぞら銀は融資の大部分をCDSヘッジとの見方
しかし、アイフル向けの債権を持つ金融機関は70社近くあり、協調して対応できるかは不透明だ。金融機関の間では、消費者金融のビジネスモデルを疑問視する声が強まっており、「アイフルの再建案では、過払い利息の返還負担の見通しが甘く、業績の下ぶれリスクは大きい」(大手行幹部)との指摘が既に出ている。
特に、一部金融機関が、アイフルが経営破たんしても損失が出ないように、「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」という金融派生商品を購入済みであることが、問題を複雑にしている。CDSは破たんに備えた一種の保険で、買い手は売り手に一定額の「保険料」を支払うかわりに、対象企業が倒産などすればCDSは精算され、買い手は「保険金」を受け取る仕組みだ。つまり、ADRで時間を掛けて債権を支援するのか、破綻させてCDSの「保険金」を受け取るか、どちらがその金融機関にとって有利かという問題になるのだ。
債権者のうち、あおぞら銀行は、アイフルと関連会社ライフ向けの融資残高が計553億円(8月末時点)にのぼるが、大部分をCDSでヘッジしている模様だ。同行内部には「そもそも消費者金融の市場が縮小する中、リストラだけで生き残れるのか。ADRは実績が少なく、銀行団の意見をまとめられるかも疑問だ」と先行き不安視する声が強まっている。