「お弁当のおかず」との印象が根強い冷凍食品だが、最近では技術革新が進んだこともあって味も向上し、「家庭内料理の食材」としても存在感を増している。そんな中、「冷凍食品の日」の2009年10月18日、都内のホテルではPRイベントが開かれ、冷凍食品を活用した料理が登場。社団法人日本冷凍食品協会(東京都中央区)では「冷凍食品をさまざまな『食のシーン』に広げていきたい」と意気込んでいた。
冷凍食品は、終戦直後に日本に上陸。国外の冷凍食品は、野菜などの素材を単に冷凍するだけだったが、国内では「素材を調理・加工したものを冷凍」するかたちで独自の進化を遂げ、1960年代には、コロッケ・シューマイ・餃子などが登場した。70年代からは女性の社会進出や外食産業の発展にともなって、消費量が拡大。90年代以降は、電子レンジが普及したこともあって、家庭でも普及が進んだ。08年の冷凍食品の国内生産量は08年1月の「中国ギョーザ事件」の影響で前年比3.7%減の147万1396トンだが、金額ベースでは6662億円で前年と同じ。風評被害に対して「踏みとどまっている」形だ。
「料理に使う素材として」が52.8%
一方、家庭での冷凍食品と言えば、弁当のおかずをはじめとする「添え物」のような印象が強かったのも事実。ところが、ここに来て、冷凍食品は一般的な家庭料理の食材としても活用が進んでいる。例えば、冷凍食品の業界団体「日本冷凍食品協会」が09年8月、冷凍食品を月1回以上利用している既婚女性500人を対象に行ったアンケートによると、冷凍食品の購入目的を複数回答で聞いたところ、「お弁当のおかずとして」との回答が全体の52.6%だったのに対して、「料理に使う素材として」と回答したのは、それを上回る52.8%だった。
そんな中、同協会では、冷凍食品の幅広い活用法を知ってもらおうと、「冷凍食品の日」にあたる09年10月18日、同協会の発足40周年記念イベントを都内のホテルで開いた。「冷凍食品の日」の10月18日は、「冷凍」の「とう(10)」と、冷凍食品の管理温度がマイナス18度以下に定められていることにちなんだもの。
介護食やメタボ予防食にも展開へ
イベントでは、浦野光人会長とフリーアナウンサーの木佐彩子さんが対談。木佐さんが
「冷凍食品では、うどんがおいしい。自分でゆでると大変ですし、冷凍食品では手軽に調理出来るのがいいですね。そういう意味では、冷凍食品のファンです」
とアピールする一方、
「ここ20年ほどは、うどんや米といった主食にも切り込んできています。これまであった『主食なので冷凍食品は避けたい』ということは払しょくしていきたいですね」
と、今後の展開について語った。イベントでは、「トマトと焼き茄子の冷たいスパゲティ」など、冷凍食品を活用した料理約20種類がビュッフェ形式で振る舞われ、参加者は舌鼓を打っていた。
イベント終了後、浦野会長はJ-CASTニュースの取材に対して、
「ここ20年でも大きな技術革新がありました。例えばコロッケや春巻。これまでは、冷めたらグシャッとなってしまっていたのですが、技術革新でこれを解消しました。チャーハンも、あの独特の香ばしい感じを出せるようになりました」
と「味の進歩」について強調する一方、今後の展開については、
「今回のビュッフェのように、冷凍食品に少し手を加えてアレンジすることで、冷凍食品の可能性は広がっていくということを伝えていきたいですね。夕食のメーンとしての利用はもちろん、多様なライフスタイルに合わせ、さまざまな『食のシーン』で活躍できる冷凍食品を作っていけたらと思っています。例えば、介護食やメタボ予備軍のためのもの。『栄養を取りながら低カロリーに抑える』というのは、通常の調理法では難しいことですので、冷凍食品の強みが発揮出来ると思います」
と意気込んでいた。