女性用トイレには用を足す際、音を消す装置がついている。流水音を模した音が25秒程度流れる仕組みだ。しかし、装置が設置されていないトイレも多い。最近、持ち運べるサイズの装置が相次いで発売され、完売で生産が追いつかないという人気ぶりだ。
エポック社のトイレ用擬音発生装置「エコオトメ」は、ボタンを2秒以上長押しすると、流水音が約25秒再生される。再度流したい時には、もう一度ボタンを押す。横3cm、高さ6.5cm、幅2cm、手のひらに収まるサイズだ。
男性社員は売れるのかと懐疑的だった
「今までにないタイプの雑貨で、男性社員から果たして売れるのだろうかという意見がありましたが、女性社員が必ず売れると押し、商品化しました。販売店のほうも男女で意見が分かれ、初回導入を見送るという店もありました」
エポック社の広報担当者はこう話している。
そんなわけで生産は抑え気味でスタートした。ところが男性社員の予想を裏切って、女性の間で話題になり、2009年8月29日の販売から1カ月あまりで本社の在庫がなくなった。初回生産分はほぼ完売で、店頭に残っているのみだ。315円という手ごろな値段もうけている。追加生産をかけているが間に合わず、入荷するのは11月中旬から下旬になる見込み。
女性になじみのあるTOTOの擬音装置「音姫」を携帯サイズにした商品も発売される。「ケータイ音姫」で、音姫と同じ流水音が最大2分間流れる。タカラトミーアーツが11月25日に発売。価格は1449円。
鳥取県の高校で年間340万円分を節水
トイレの流水音を模した着信メロディも配信されている。タイトーはiモード、EZweb、Yahoo!ケータイ向けの着信メロディ配信サイトで、「音無さららさん」の提供を7月29日に開始した。ロング、ノーマル、ショート、スーパーロングの4種類の擬音がある。サイトの利用料は月額315円。携帯電話さえあれば、いつでも流水音が出せるという手軽さが好評だ。
TOTOの調査によると、女性が1回のトイレ使用で水を流す回数は平均2.5回。通常は1回で済むところ、音を消すために1.5回分、余分に水を流している。1回に流れる水の量は約10リットルで、余分に消費している水の量は10~15リットルとなる。
擬似音を出すことで節水効果も確認されている。
長谷育英奨学会の寄付で、鳥取県内の高校23校の520台分の女子トイレに擬音装置を設置したところ、水を流す回数が減り、年間で合計約340万円分の節水に成功した。県教委が8月に行った調査によると、年間の水道料金が平均で前年度比15%減となり、24万2000円分節約できた計算だという。最も効果の大きかった高校は同25%減で、約39万7000円減った。