「論語」が静かな「ブーム」 児童向け書籍珍しいヒット

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「不透明な時代の雰囲気によく合っているのかも」

   前出の安岡定子さんが書いた「親子で楽しむ こども論語塾」(明治書院)は初版5000部で2008年にスタートしたが、好評で重版を重ねた。09年2月に発売された続編とあわせると10万部を発行した。これほど売れるのは、児童書のジャンルの中では珍しく、続編も現在編集中だ。

   同書は、約500章ある「論語」の中から厳選した内容を収録している。書き下し文、原文、現代日本語にくわえて、「こども用解説」が掲載されている。対象は5歳以上。

   編集担当の西岡亜希子さんは「昔はおじいちゃん、おばあちゃんが生き方を示してくれたものでした。今では、少なくなってしまって。そんなこともあって、思いやりの心を育てたいと、両親が子どもに買い与えるみたいです」と話す。もっとも、子どもと一緒に読みながら、親の方が気に入ってしまう場合も多々ある。

「著者の安岡さんは、論語を『心の栄養』と言っています。読んですぐに役に立つというわけではなくて、いつか役立つものです。論語は、内容が普遍的なので、子どもにとって、父親にとって、母親にとって、それぞれに違った読みができるのが面白いと思います」

   一方、前出の「こども論語塾」の担当者は、「これまでないがしろにされがちだった『心』が今、見直されているように思います。この不透明な時代の雰囲気にも、よく合っているのかもしれませんね」と話している。

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